なんでこんなところに!? 崖、島、絶景にぽつんと建つ家々の写真集『世界の絶景の家』
#本
世の中、とんでもない絶景に家があるもんだ!
『世界の絶景の家』(エクスナレッジ)は、「うわぁ~、すごい!」と、口に出さずにはいられない絶景に建つ家々の写真集。モロッコのサハラ砂漠、グリーンランドの氷山、スペイン・アンダルシアのひまわり畑、ブータンの標高3000メートル以上の断崖絶壁……などなど、世界中が舞台で、誰かの家だけでなく、ホテル、教会、僧院も含め、55カ所が紹介されている。あまりの美しさに、“世の中にはこんな素晴らしい絶景があるのか”と、心がワナワナと震えるが、同時に“なんでまたこんなところに!?”と疑問も膨らむ。
ゆっくりとページをめくっていく中で「おぉ、ここは!」と目に留まったのが、以前、筆者が訪れたことがある、ボリビアのウユニ塩湖の「塩の家」。
近年、旅行者を中心に話題のスポットなので知っている人も多いかもしれないが、ウユニ塩湖は、南北約100キロ、東西約120キロに広がる塩の湖で、雨季には鏡のように空が湖に映し出され、「天空の鏡」と表現される。その景色が、本当にこの世の景観とは思えぬ美しさで、夜になると見たこともない数の星が湖に映り込み、まるで宇宙にやってきたかのようになる。「塩の家」は、そんな素晴らしき景色を一晩中、満喫できるホテルで、本書『絶景の家』の世界の中に入り込めるのだ。
ただ、絶景ということは、イコール辺鄙な場所。とんでもない場所であり、究極に不便な場所の可能性がある。このホテルも、電気は大人数お客さんが宿泊した時だけに点灯し、普段はろうそくのみ。当然、お風呂にも入れないし、水や食料はとても貴重。朝食に出されたパンはいつもなのか、運が悪かったのか、カピカピ。そんな状況ではあったが、それでも、この景色を見たいがために、ウワサを聞きつけ、旅行者が次々にやってくる。
本書には、ウユニ塩湖のほか、モンゴルのテレルジ国立公園内の巨大な岩の前に建つ家や、高さ82メートルの溶岩の頂にある、フランスのサン・ミッシェル・デギレ礼拝堂、見上げればオーロラがゆらめく、アラスカのデナリ国立公園内の小屋など、実際に訪れることができる場所も多く紹介され、旅好き、絶景ファンにとっては、情報収集できる本としても大いに役立つ。ページをめくるたびにじーっと見入ってしまい、「あぁ、行ってみたい!」と、どうしようもなく旅に出たくなる一冊だ。
(文=上浦未来)
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