トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 山本太郎が出てるけど……原発反対映画じゃなかった!『朝日のあたる家』
家族の絆を再認識する原発事故を背景としたホームドラマ

山本太郎が出てるけど……原発反対映画じゃなかった!『朝日のあたる家』

asahi_bogohuku.jpg

「テレビや新聞は情報を伝えるものです。それに対して、映画は感情を伝えるものなのです」

 公開初日の舞台挨拶では、一家の4人を演じた俳優陣が登壇し挨拶を行った。その中で、母親を演じた斉藤とも子氏は、劇中で感情が高ぶって「(放射能の影響で)死ぬのよ!と言ってしまったが、福島の人が見たらどうだろうと思ったのですが……そのまま、使われていました」と語っている。福島第一原発事故では、死ぬほどの健康被害が出るのか否かをめぐって、さまざまな議論やデータが出されている。

 しかし、いくらデータを積み重ねようとも、感情の前にはかなわない。現実に、多くの人が冷静さを失い、感情をむき出しにするしかないところへと追い込まれている。そのことも、映画は教えてくれる。

 もうひとつ、本作が商業映画として完成度が高いのは、子どもが見てもわかりやすく構成されていることだ。監督によれば「5歳の子どもが最後まで飽きずに見てくれた」こともあったという。テレビゲームではモニターに子どもを使うこともあるくらい、子どもほど正直な観客はいない。5歳でも飽きずに最後まで見たという事実は、映画の完成度の高さを示すものだといえよう。

 原発の話題を口に出すと、まず「反対か賛成かどっちか」から始めなければならない面倒くささがつきまとう。冒頭に記したように、本作を「原発反対映画」と思っている人も多いだろうけど、それはまったくの間違いだ。

「原発事故を題材にした、淡々としたパニックムービー」そんな理解で鑑賞してみるのが、ちょうどよいだろう。この映画、すでに政治主張が固まった意識の高い人だけが称賛するんじゃ、もったいない。
(取材・文=昼間たかし)

『朝日のあたる家』
監督・脚本:太田隆文 製作:「朝日のあたる家」を支援する会
出演:並樹史朗/斉藤とも子/平沢いずみ/橋本わかな/藤波心/いしだ壱成/山本太郎
配給:渋谷プロダクション

東京・渋谷アップリンクほか全国で順次上映中
<http://asahinoataruie.jp/>

最終更新:2013/10/04 18:00
123
ページ上部へ戻る

配給映画