山本太郎が出てるけど……原発反対映画じゃなかった!『朝日のあたる家』
#映画 #山本太郎
「テレビや新聞は情報を伝えるものです。それに対して、映画は感情を伝えるものなのです」
公開初日の舞台挨拶では、一家の4人を演じた俳優陣が登壇し挨拶を行った。その中で、母親を演じた斉藤とも子氏は、劇中で感情が高ぶって「(放射能の影響で)死ぬのよ!と言ってしまったが、福島の人が見たらどうだろうと思ったのですが……そのまま、使われていました」と語っている。福島第一原発事故では、死ぬほどの健康被害が出るのか否かをめぐって、さまざまな議論やデータが出されている。
しかし、いくらデータを積み重ねようとも、感情の前にはかなわない。現実に、多くの人が冷静さを失い、感情をむき出しにするしかないところへと追い込まれている。そのことも、映画は教えてくれる。
もうひとつ、本作が商業映画として完成度が高いのは、子どもが見てもわかりやすく構成されていることだ。監督によれば「5歳の子どもが最後まで飽きずに見てくれた」こともあったという。テレビゲームではモニターに子どもを使うこともあるくらい、子どもほど正直な観客はいない。5歳でも飽きずに最後まで見たという事実は、映画の完成度の高さを示すものだといえよう。
原発の話題を口に出すと、まず「反対か賛成かどっちか」から始めなければならない面倒くささがつきまとう。冒頭に記したように、本作を「原発反対映画」と思っている人も多いだろうけど、それはまったくの間違いだ。
「原発事故を題材にした、淡々としたパニックムービー」そんな理解で鑑賞してみるのが、ちょうどよいだろう。この映画、すでに政治主張が固まった意識の高い人だけが称賛するんじゃ、もったいない。
(取材・文=昼間たかし)
『朝日のあたる家』
監督・脚本:太田隆文 製作:「朝日のあたる家」を支援する会
出演:並樹史朗/斉藤とも子/平沢いずみ/橋本わかな/藤波心/いしだ壱成/山本太郎
配給:渋谷プロダクション
東京・渋谷アップリンクほか全国で順次上映中
<http://asahinoataruie.jp/>
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