吉野家、マック、サイゼリア……同じ味なはずなのに何かが違う?『全国飲食チェーン本店巡礼』
#本
モスバーガー、CoCo壱番屋、ガスト、てんや、餃子の王将、牛角、築地銀だこ……などなど、日本中にあふれる全国飲食チェーン店たち。これらの記念すべき1号店は、一体どんなお店だったのか?
そのルーツに迫った本が『全国飲食チェーン本店巡礼 ルーツをめぐる旅』(大和書房)だ。チェーン店といえば、同じ味に、同じメニュー、同じような店内……と、何もかも「だいたい一緒」が大前提のような気がするのだが、本店は何かが大きく違う! 「天下一品総本店」本店で食べたラーメンの味に感動した著者が、本店めぐりに目覚め、ブログ「本店の旅」を開設。本書を出版するに至った。TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』「本店道特集」をはじめ、メディアで話題沸騰中の新感覚グルメガイドなのだ。
紹介されている48店舗はどれも超有名飲食チェーン店で、その誕生秘話やエピソードは、“今まで何度も訪れていたお店にこんなルーツが!”と驚かされることばかり。だが、その中でも群を抜いて内容が濃かったのが、日本牛丼界のドン「吉野家」だ。
彼のお店の本店は築地市場場内にあり、創業はなんと1899年! ほかの飲食チェーン店が1970年代から急増したのと比べると、ダントツで歴史が長い。本店は今でも牛丼ひと筋で、「つゆだく」「ねぎだく」「つゆだくだくねぎだく」「あたま」など、独特の注文が繰り出され、それを店員さんは伝票を取らず、すべて頭に叩き込む。かつて吉野家といえば、どの店舗でも伝票を使わず、“みんなよく覚えられるな~”と思っていたのだが、いつしか伝票制になり、寂しくもあったが、ここ本店では健在だ。
お客は築地市場で働く、食にうるさいプロが常連で、味に厳しく、極端にせっかち。そんな中で生まれた「はやい・うまい・やすい」の牛丼文化が、本店を訪れれば、身に染みて体感できる。本書には、吉野家の成り立ちが、さらに深く掘り下げて書かれているので、一度その事実を確認してから訪れてみれば、かなり感慨深いものになるはず。
なお、「本店巡礼作法」なるコーナーがあり、どうやって満喫するかも紹介されているので、地元で人気のチェーン店などがあれば参考にして、全国あちこちへ出かけてみよう!
(文=上浦未来)
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