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言論・表現の自由を守るために──法学者・清水英夫が最後に助けたのは「AV業界」だった

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 人類の長い歴史において「エロ」は「うた」と並んで常に民衆の中にあり、民衆に求められてきたものである。「お上」とか「権力」と呼ばれるものは、常にそうした民衆の欲望を「俗悪」であるとか、一部のアンダーグラウンドな人々によって制作され流通しているものだというレッテル貼りを、規制を繰り返してきた。でも、もはやそうした公式が安易に通用しないことは、誰もがよく理解している。

 そして、表現を発信する業界の側も、自分たちの商いに誇りを持ち、人目を憚るものではないことを示し、権力と対等に対峙しようと努力してきた。清水氏の提案により構築された第三者機関を軸とした審査制度は、権力が取り締まろうとする、民衆のための表現を守るものである(かつて、映画業界では、そのためにできた組織が映倫であり、そこで守られるべきと考えられた映画が『太陽の季節』であったことも忘れてはならない)。

 生前、清水氏は「法学者が、とくに憲法研究者がこれ(言論・表現の自由を守る)をやるのは、当たり前なんだ」と語っていた、とも。

 オリンピックに向けて過去のわが国の対応から、各種の表現領域、分野に於ける行き過ぎた表現を規制しようとする環境浄化の動きが強まることが予想される今、言論・表現の自由が規制されることへの不安の中で、この言葉の持つ価値は大きく、重い。

 多くの参列者が詰めかけたお別れ会ではあったが、AVメーカーの参列が少なかったのが、非常に惜しまれるところだ。映像倫理機構では11月の臨時総会と同日に会員向け懇親会を開催し、改めて清水氏への哀悼の意を表す予定になっている。この席が、清水氏の業績を思い起こす場になることを願いたい。
(取材・文=昼間たかし)

最終更新:2014/03/03 15:36
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