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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.241

二階堂ふみとのデートは“地獄めぐり”で決まり!“史上最凶”のアイドル映画『地獄でなぜ悪い』

jigokudenazewarui03.jpg武藤と敵対する池上(堤真一)はミツコ(二階堂ふみ)の大ファンだった。
全力歯ぎしり、レッツゴ~♪(作詞作曲/園子温)

 園子温作品を愛好する者にとって、女優陣の顔ぶれもうれしい。園監督の公私にわたるパートナーである神楽坂恵、園作品のみならずこれからの日本映画界のミューズになるだろう二階堂ふみ、極妻役を長年待っていたかのような友近の貫禄、またシネフィルぶりで知られる成海璃子も園作品に初参加。さらに、『紀子の食卓』(06)で特異な存在感を放っていたつぐみが短いシーンながら久々にカムバックを果たした。原発事故問題を真っ正面から描いたシリアスな社会派ドラマ『希望の国』(12)から一転、本作は祝祭性を感じさせる底抜けエンターテイメントとなっている。女優賛歌と映画愛に充ちた『地獄でなぜ悪い』は、園監督が映画の神さまに捧げる大豊饒祭であり、「永遠に刻まれる一本」を追い求めることを改めて誓う所信表明でもある。

 園作品ではこれまで実に多くの地獄絵図が描かれてきた。『愛のむきだし』(08)の満島ひかりはカルト教団によって洗脳され、『恋の罪』(11)の神楽坂恵はセレブ主婦から売春婦へと身をやつした。でも、地獄の底でもがき苦しむヒロインたちの生々しさが美しかった。震災後の世界を描いた『ヒミズ』(12)でマルチェロ・マストロヤンニ賞を染谷将太とふたりで受賞した二階堂ふみの場合は、ぶっ壊れてしまった社会がそもそも彼女のホームグランドとなっている。ディストピアこそ、女優・二階堂ふみをサイコーに輝かせるステージなのだ。血しぶきを浴びながら、ニコッと微笑む二階堂ふみは映画が生んだ奇跡に他ならない。地獄でなぜ悪い。いや、地獄で眩しく輝く二階堂ふみに逢いたい!
(文=長野辰次)

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『地獄でなぜ悪い』
監督・脚本/園子温 出演/國村隼、長谷川博己、星野源、二階堂ふみ、友近、堤真一 配給/キングレコード、ティ・ジョイ 9月28日より新宿バルト9ほか全国公開中 (c)2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会 
<play-in-hell.com>

最終更新:2013/10/11 18:28
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