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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > ミスターAV男優・加藤鷹 登場

体力の限界? 業界への不満? “ミスターAV男優”加藤鷹が卒業を決意した、ホントの理由

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■仕事なんて、好き嫌いでやるもんじゃない

――ところで、鷹さんってもともとAV男優どころか、AV業界志望ですらなかったんですよね。

 今でも別に男優志望じゃないからね(笑)。

――えーっ、27年もやってきて!

 別に、やりたくて始めたわけじゃないから。今の人たちは、自分のやりたい、好きな仕事がないからってニートになったりするけど、オレからしたら仕事なんて好き嫌いでやるもんじゃないからね。先日引退を発表したヤクルトスワローズの宮本慎也がいいこと言ってたけど「好きで始めた野球だけど、プロに入った瞬間に野球が仕事になった。今は楽しむなんてできない」って。とりあえず、好きでも嫌いでも働いてなきゃダメですよ、人間。就職できなかったら、マクドナルドでバイトするでもいいじゃない。そこで社員に誘われるかもしれないし、何かを見いだすかもしれないわけで。それが面白いんだから。

――で、そんな鷹さんがAV男優になったきっかけって、なんだったんですか?

 もともとはなんの目標もなく、金も持たずに東京に出てきちゃったんで、とにかく日銭を稼いで食っていかなくちゃならなかったんだよ。それで最初はテレビの制作会社に入ろうと思ったの。地元(秋田)にいた頃、カメラマンをやってたから。でも、ことごとく断られて、「テレビだと難しいけど、AV業界だったら入れるんじゃない?」と言われたんで、「なるほど、そういう業界もあるのかー」って。それで、当時「アップル通信」とか見ると巻末にメーカー一覧が載ってたから、片っ端から連絡してみて。「なんでもやるなら使ってやる」って言われて、この業界に入ったんだよね。

――最初は、制作スタッフ側だったんですね。

 そう、ホントになんでもやったよ。機材を運んだり、照明を片付けたり、運転手もやったし……。女優さんが窓際に立っておしっこするのを、ゆうたろうが持ってるようなブランデーグラスで受けたりもした。たぶん、あれがオレのAV初出演シーンだと思うけど(笑)。で、そうやってなんでも一生懸命やるから上から気に入られて、営業部長から「営業に来ないか」って誘われたの。

――それは相当気に入られたんですね。

 でも、営業って秋田にいる頃にやったことがあったんで、同じことはやりたくないなって……。とはいえ、それを断るとなると、同じ会社なんで制作にもいづらいじゃない。そこで「男優になったら、もっと稼げるかな」と思って先輩に相談したら、「電話してやるから、ダメ元でやってみ」って。

――そうやって偶然が積み重なって始めたAV男優が、向いていたっていうことですか。

 うーん、今でもあまりうまくできてる感はないんだけどね」

――でも、やはり鷹さんといえばザ・AV男優というイメージは強いですし、ほかの人たちとの差別化は考えたんじゃないですか?

 うーん……差別化を考えたことがあるとすれば、とにかく「実績を残してギャラを上げていく」ってことだよね。

――ああ、AV男優の中には、その発想がない人も多そうですよね。

 それ仕事じゃないよね、趣味でしょ。オレは最初から仕事って考えてたから、費用対効果は考えるよね。「これだけの労働で、これは安いよな」って。もちろん、「ギャラを上げて」って言う前に、やることをちゃんとやって。

――よく言われますけど、男優のギャラってそんなに悪いんですか?

 まあ、みんなスタートは1万円だよね。日雇い人夫と一緒。そうなると、かけ算でしかないから、30日仕事すれば30万円。それが2万円になれば60万円。4万だったら100万超えるな、とか。オレ、商業高校卒業だから、そういうことばっか考えちゃうの(笑)。わりと3万円くらいまではすぐに上がったんだけど、そこからが大変で……。当時、5万以上もらってる男優さんっていなかったから、なかなかそれ以上にはならなかったね。先輩たちを追い越すまでに、20年近くかかったもん。

――時間はかかったとはいえ、それだけ鷹さんの実力が評価されたということですよね。

 当時は、男優さんの力量を大事に思っていてくれた、っていうのもあるだろうね。たとえほかのヤツより1~2万高くても、オレに頼みたいっていう人がいっぱいいたの。今は予算もキビシイから、クオリティーよりもその1~2万がもったいないという発想になっちゃう。

――確かに、クオリティーを求めなければ、安くても男優をやりたいって人はいくらでも見つかりそうですしね。

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