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「阿漕」「引っ張りだこ」「金字塔」の語源は? 百聞は一見に如かず『目でみることば』

medemiru.jpg『目でみることば』(東京書籍)

 「几帳面」って、何かの面のこと? 「図星」の図って? 「羽目を外す」の羽目は? 普段、何気なく使っている言葉も、よくよく考えてみると一体なんのことやら、なぜこんな表現を? と疑問を感じることが多い。


 『目でみることば』(東京書籍)はバカバカしくも大真面目に、言葉の語源を写真で表現した、非常に画期的な写真集。例えば、ずうずうしく、あくどいという意味で使われる「阿漕(あこぎ)」。この言葉には穏やかな海の写真が紹介されていて、一瞬“んっ?”と首をかしげさせられるのだが、実は阿漕の由来は、三重県津市に実在する阿漕ヶ浦。ここは、伊勢神宮に供える魚を獲るための漁港で一般的には禁漁区なのだが、かつては密猟をする人が絶えず、あくどい商売をする人のことを、こう呼ぶようになったのだという。

 また、悪事や欠点を隠したつもりでも、その一部がバレてしまう「頭隠して尻隠さず」は、『古事記』『桃太郎』などにも登場する、日本で昔から親しまれている“ある鳥”が、臆病な上、飛ぶのが苦手で、危険を察すると草むらなどに隠れるのだが、しっぽが見えている様子からできた言葉で、草むらへ、とっとっとっと、と隠れていく、まさにその瞬間が写真に収められ、“なるほどこういうことか!”と、すぐに納得できる。

 そのほかにも、「独活(うど)の大木」「瓜二つ」「金字塔」「引っ張りだこ」「反りが合わない」などなど、全部で40の言葉の語源が紹介されている。

 著者は、言葉の謎や魅力を解き明かす創作活動「ことば探検プロジェクト」などを展開する、ライター&脚本家のおかべたかし氏。カメラマンには、「語源探しは、宝探しそのもの」と語る、雑誌、広告で活躍する山出高士氏を迎え、すべて撮り下ろし。2人が日本全国へと撮影に出かけ、5年もの歳月をかけて完成させたこだわりの一冊に仕上がっている。どのページをめくっても、「ほぉ~、へぇ~」と驚き、言葉の歴史、雑学が一発で頭に残ること、間違いなし! 
(文=上浦未来)

●おかべたかし
1972年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務後、編集者、ライター、脚本家。著書に『赤ちゃんを爆笑させる方法』(学習研究社)、『ブログ進化論』(講談社)、『Web2.0殺人事件』(イースト・プレス)など、漫画脚本作品に『ヒーローマスク』(小学館クリエイティブ)がある。

最終更新:2013/09/27 21:00
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