「五輪は東京で決定しました!」 電通でウワサの”怪情報”を追う
#電通 #五輪
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9月7日、ついに2020年の夏季オリンピックの開催都市が東京に決まりました。経済活性化への期待や、福島第1原発の汚染水問題解決への課題など、思うところはさまざま。
さて、サイゾーではさかのぼること7カ月前、2月発売の3月号で「五輪東京で決定しました!」と高らかに宣言(!?)しております。予言か、それとも”ソースサイゾー”のはったりが当たっただけなのか!? 確かめるべくいま一度疑惑の記事を振り返ってみましょう。
■今回のピックアップ記事
『「五輪は東京で決定しました!」 電通でウワサの”怪情報”を追う』(2013年3月号News Number twoより)
起用した東京五輪招致ポスター。首都
圏ではいたるところで目にすることがで
きる。
「私、浜田雅功は東京招致できたら、開会式のどこかのシーンで必ず見切れます」(ダウンタウン・浜田雅功)
「私、吉田沙保里は東京招致できたら、8年後、止められても出ます」(レスリング・吉田沙保里)
首都圏に住んでいれば、駅や街の掲示板で、こうしたキャッチコピーを見かけた向きも多いだろう。これは、”東京2020オリンピック・パラリンピック招致アンバサダー”に就任した著名人による、同大会の招致プロモーション『楽しい公約プロジェクト』での公約だ。
浜田の”ドヤ顔見切れ”はさておき、公約を順守するならば、レスリング・吉田選手は、38歳の体に鞭を打ち、五輪に挑戦しなければならなくなった……という話題が、大手広告代理店の電通で囁かれているという──。
11年9月の立候補都市申請を皮切りに始まった、20年夏季五輪招致レース。12年5月の1次選考を経て、現在、候補地として残っている都市は、スペインのマドリッド、トルコのイスタンブール、そして東京の3都市だ。
今後の選考スケジュールは、「今年3月にIOC(国際オリンピック委員会)の評価委員会が3都市を現地視察。7月に各都市がプレゼンテーションを行い、9月7日のIOC総会において開催都市が決定する」(スポーツ紙記者)という流れだが、広告制作関係者のA氏は、今年の年明け早々こんな話を耳にしたという。
「電通内にある五輪絡みの部署では、『五輪が東京に決まった』という話が、まことしやかに囁かれているそうです。すでに電通は、東京五輪開催決定で業務を動かしており、同社にはCM料等、2000億円もの大金が入るとか」
スポーツビジネスに明るい別の大手広告代理店関係者に話を聞くと、「常識的には、この段階で決まるということはまずあり得ない。ロンドン五輪に出場した選手らの告発によって暴力やパワハラが明らかになり、全日本女子柔道の園田隆二監督が辞任した件で、むしろ開催は厳しいという見方もある」と語り、一見、眉唾の与太話にも聞こえる。だが、2000億円という金額と、五輪、そして”広告界のガリバー”電通との関係をひもとけば納得できる部分も少なくはないという。本誌でも再三指摘した電通をめぐる五輪ビジネスについて、まずはその歴史を再考してみよう。
11年に亡くなった電通のドン・成田豊元会長の、「権利の根っこをつかむ」という志とともに、84年ロサンゼルス五輪から始まった電通のスポーツビジネス。それ以降、電通はサッカーW杯、世界陸上などの国際的なスポーツイベントのスポンサーシップ販売権、テレビ放送権を獲得してきた。
06年トリノ五輪と08年北京五輪の2大会で198億円、10年のバンクーバー五輪と12年のロンドン五輪で325億円、14年のソチ五輪と16年のリオデジャネイロ五輪で360億円と、大会ごとに高騰を続ける五輪の放送権料だが、「放送権料は、NHKと民放が共同で番組制作をする放送機構・JC(ジャパンコンソーシアム)がIOCに支払っていますが、日本国内における五輪のテレビCM販売権は電通が独占的に持っています。電通はCM枠を売る際、約20%の手数料を取るといわれますが、そのCM料は、五輪の放送権料によって決まります。それ故、五輪の放送権料が上がれば上がるほど、電通の取り分は多くなることに。04年のアテネ五輪における電通の大会売上高は150億円超といわれますが、大会ごとにその額は増えていっていることになります」(全国紙運動部記者)
このように、五輪とは切っても切り離せない電通だが、20年の五輪が東京開催となれば、その売上額の桁はまるで違ってくるという。
「五輪の大会演出・プロデュース、20年までの7年間に行われる五輪関連イベントのコーディネート、グッズのライセンス契約ビジネス、そして広告需要の拡大……数えきれないほどの五輪関連ビジネスが発生するはずです。事実電通は、自社が仕掛けて開催された02年の日韓共催サッカーW杯では、4年の準備期間でCMやライセンス契約などにより、計1000億円もの収入を得ています。倍近い準備期間がある東京開催の五輪では、当然ながら収入も倍額に達すると考えているようです」(同)
日韓W杯の倍──つまりそれは前述の電通社員が発した「2000億円」と確かに合致するのだが……。
「スポーツ局や関連部署の社員の間では、東京開催決定は周知の事実だそうです。確率でいうと、99%とのこと」(前出・A氏)
怪情報のひと言では片付けられない、とまではいわないが、少なくとも電通社員の中には”その気”になっているおめでたい輩もいるということだ。が、なぜここまで早く東京開催が決定したというのか。前出の運動部記者は、五輪の実態を踏まえて、こう口にする。
「76年モントリオール五輪で10億ドルもの赤字を出したIOCは、未来永劫五輪を継続開催させていくために、84年のロス五輪以降、大会収支の黒字を目指し大会を商業化していきました」
そのためには、大会運営費の半分以上を、各企業からのスポンサー収入で賄う必要があるというが、「スポンサーとして五輪にカネを出す企業は、当然ながら投資額以上のリターンを求めますよね。その効果値がダントツで高い開催地が、今世界経済を最も牽引している東南アジア市場に近く、密接な関係を持つ東京だったということです](同)
財政破たん間近とも囁かれるスペインでは話にならず、経済発展著しいトルコでも、6億人の人口を持つ東南アジアの消費市場には太刀打ちできないのだ。「安倍首相が連携強化を進める東南アジア諸国連合の存在が、『東京五輪開催』の力強い後押しになった」(同)ようなのだ。
さらに、12年5月の1次選考時、”原発事故による夏季のピーク時における電力不足”と”国民及び都民の低い支持率”の2つが東京の”課題”とされていたが、「電力は、昨夏も原発が止まっていたにもかかわらず問題なかったし、安倍首相は原発の新設まで示唆しています。支持率も、1月30日、都民を対象にした世論調査で、五輪招致の支持率が73%と初めて70%を超えたことを招致委員会は発表しました」(同)と、すでに2つとも解決済みの感すら漂っている。
こうした流れについて、前出の大手広告代理店関係者は「経済状況が不安定なスペインでの五輪開催は難しいだろうが、何らかの政治的理由でトルコが辞退すれば、東京での開催は充分に考えられる」というが……。このご時世、景気の良い話に鼓舞する一部の電通マンの気持ちはわからなくもないが、さすがに早計ではなかろうか?
(構成/編集部)
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