同性に惹かれ合う美少女たちの甘く危険な世界!『ジェリー・フィッシュ』の新進女優が眩しい
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『ジェリー・フィッシュ』に主演したのは、オーディションで選ばれた2人の若手女優。夕紀役の大谷澪はミスマガジン2008審査員特別賞受賞をきっかけに芸能デビュー。朝ドラ『カーネーション』や橋本愛主演のホラー映画『アバター』(11)などの出演歴があるが、本作が初主演作。ショートヘアが印象的な叶子を演じたのは花井瑠美。3歳から21歳まで新体操の選手として活躍し、日本代表にも選ばれた元アスリート。本作がまったくの演技初挑戦だった。オーディションでは演技キャリアのある大谷が先に決まり、大谷が他のオーディション参加者たちと次々とキスシーンを演じることで、大谷との相性の良さから花井が選ばれたそうだ。それほど金子監督の目には、大谷と花井のキスし合う姿がとても自然なものに映ったらしい。「役者という仕事をやっていく上で、裸になるということも通るべき道のひとつ」と大谷が言えば、「根性と度胸だけで、今まで生きてきた」と花井も応える。思い切りのいい主演女優2人の脱ぎっぷりから目が離せない。大谷と花井の鮮烈なベッドシーンを見て、金子監督は『デスノート』(06)や『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)などのヒットメーカーである前に、日活ロマンポルノ出身だったことを思い出した。
人気監督ほど、作品の中に監督自身の性的嗜好性や死生観が色濃くにじみ出てくる。宮崎駿監督作品に登場する少女たちは重力や社会常識に縛られない軽やかな魅力を放つが、大人になるとはかなげで色褪せた存在になっていく。北野武監督は自分の中に巣食う破滅願望を作品として吐き出すことで、自分の内面を浄化している。三池崇史監督の作品には必ずといっていいほど緊縛シーンが登場する。イマジネーション豊かなサディストであり、同時に貪欲なマゾヒストでもある。園子温監督は露出狂だ。自分が脱ぐ代わりに女優たちを裸にしてしまう。映像作家というよりは職人的立場にある金子監督だが、やはり作品の中からはある種の匂いが立ち込めている。それは美少女たちをフィギュア的に愛でる視線だ。『1999年の夏休み』で思春期の少年を演じた深津絵里、『ウルトラマンマックス』(TBS系)で表情のないアンドロイドを演じた満島ひかりをはじめ、金子作品のヒロインたちは命を与えられたばかりのフィギュアのような初々しい魅力を漂わせている。『ジェリー・フィッシュ』に主演した大谷も花井も、金子作品の正統的なヒロインの系譜にある。
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