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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 統合失調症から復活 松本ハウス
『統合失調症がやってきた』発売記念インタビュー

「コーヒーを押すと、ミルクティーが出てきた」10年ぶり復活のボキャ天芸人・松本ハウスが語る“統合失調症”のリアル

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――その間も、こまめに連絡は取り合っていたんですか?

キック 連絡も取っていましたし、コンビを復活するちょっと前くらいからは家にもよく遊びに来てましたからね。そのたびに、「今日は言おう」と思っていたみたいですけど。

加賀谷 でも言えなくて……。思い詰めて、最終的には電話で言いましたからね。でも感情が高ぶっちゃって「ウワーッ」て泣いちゃって。

キック 電話でいきなり泣きだすから、また症状悪化したんじゃないかと思いましたよ。「大丈夫か、お前!?」って(笑)。

加賀谷 「ウワーン、またコンビやりたいんですぅ~」って。

■よくある話

――そして、再び「松本ハウス」として活動を始めるわけですが、その際に病気のことを前面に出していくかどうか、という判断があったんじゃないでしょうか?

キック 確かに、復活当初は事務所もなくフリーで活動していたこともあり、「全部のネタを病気フィルターで見られても困るな」ということで、そこは悩みましたね。結果的には、障害者をテーマにしたバラエティ番組『バリバラ~障害者情報バラエティー~』(NHK Eテレ)に出させてもらったり、ネタの中でも病気のことを扱ったりと、その辺をオープンにしていくことにしたわけですが。

――最近では統合失調症についての講演会をやったり、学会に出席したりもしているそうですね。

キック 「日本統合失調症学会」という、東大から京大から海外の教授までやって来るようなすごい真面目な学会に呼んでいただいて、「加賀谷はこういう症状がありました。ボクはそれにこう接していました」みたいな感じで発表させてもらったんですけど、最初はホントに「すごいとこに来たな……」と思いましたね。壇上に「はい~松本ハウスで~す!」とか元気よく出ていったんですが、かつて味わったことのない視線を浴びましたよ。

加賀谷 ボクは味わったことがある視線ですけどね。診察の時の先生の目ですから。そこで、「か・が・や・でーす!」って言って。

キック その瞬間に、何人かの先生がメモを取りだして!

加賀谷 メモじゃないですよ、カルテですよアレは。

キック もちろんそこでネタをやる予定なんてなかったんですけど、ちょっと時間が余っちゃったので、なぜかやることになっちゃって……。ネタの中で加賀谷が「ウワーッ」って叫ぶシーンがあるんですが、そこでまたみんなメモ出してましたから。「コレ、ネタじゃなくて症状だと思ってるんじゃないか?」って。

加賀谷 カルテがドンドン増えてましたね。

キック でも、その発表は精神科医の先生たちも、ものすごくよかったって言ってくれました。

加賀谷 お医者さんたちって、入院中の患者のことはよく分かっているんですけど、退院してからどういうふうにしているのかは分からないんで、すごく興味深かったみたいです。

――今回、どうしてこの病気について振り返る本を出そうと思ったんでしょうか?

キック 実は、復活する前後から、本を出さないかという話は何度か頂いていたんですね。ただ、当時は自分らがどうなるか分からない時期だったこともあり、お断りしていたんです。その後、『バリバラ』に出させてもらったり、講演会をやらせてもらう中で、「自分らに伝えられることがあるな」と思うようになって、今回の本を出版することにしました。

加賀谷 本の作り方としては、ボクが話したことをキックさんが文章にまとめてくれたんですが、本当に吐きながら当時のことを思い出しましたね。「明日はキックさんにこういうことを話そう」とメモを取っているだけで、ブワーッて吐いちゃったりして。

――最近、調子はいいわけですよね?

加賀谷 エクセレントですね!

――それでもフラッシュバックしてしまうくらい、つらい思い出だったんですね。

加賀谷 それくらい、こじ開けたくない記憶なんだと思います。

キック この本を読んでいても、どうしても読めなくて飛ばしちゃう部分があるって言ってますからね。

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