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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.237

韓国では、大統領もヤクザも似たようなもの? 嫌韓流も楽しめる、裸の韓国人像『悪いやつら』

waruiyatsura02.jpg外では悪いことやりたい放題のイクヒョン(チェ・ミンシク)だが、家族の前では教育熱心なインテリパパに早変わりする。

 当然ながら『悪いやつら』は、名門大学には縁のなかった人たちのお話。釜山の税関に勤めるチェ・イクヒョン(チェ・ミンシク)はなけなしのワイロを渡して、この職に就いた。就職するのに元手が掛かったが、家族のためにもしっかり回収しなくてはならない。税関に通う業者たちのチェックを甘くする代わりに、「お食事代」「お車代」をたんまりといただく。イクヒョンだけでなく職場のみんながやっていることなので罪悪感はまるでない。ところが運悪く税関に査察が入り、職場を代表してイクヒョンひとりが詰め腹をさせられるはめに。なんでオレだけ貧乏クジを? 憤懣やるせないイクヒョンの目に留まったのは、港の倉庫に隠されていた大量の覚醒剤。「日本に送りつけて、日本人をみんなシャブ中にしてしまえ!」とイクヒョンは退職金代わりに覚醒剤をネコババ。裏社会への横流しを請け負うことになったのが、新興ヤクザの若き親分チェ・ヒョンベ(ハ・ジョンウ)だ。同じ姓なので、イクヒョンが出身地を尋ねると、2人は親族関係であることが判明。親戚同士で自分のほうが年上なことから、イクヒョンは急に態度がデカくなる。彼のお調子もの人生がここから始まった。

 イクヒョンは税関時代の人脈を活かして、ビジネス界と裏社会のコーディネイターとして暗躍。地元の警察署や司法関係者にもせっせと贈り物を届けるなど抜け目ない。イクヒョンの小ズルい処世術とヒョンベのここ一番でのバイオレンスパワーががっちり噛み合い、2人はたちまち釜山一帯の顔役に収まる。ショービジネスやカジノの権利も手に入れ、2人はウハウハだ。頼れるものはやっぱり血縁関係だと、ヒョンベもすっかりイクヒョンに心を許すようになる。

 韓国映画の魅力は振り切った演出にある。マーティン・スコセッシ監督の『グッドフェローズ』を100回観たというユン・ジョンビン監督(1979年生まれ!)は怖いもの知らずで、韓国社会の実情を暴き出していく。同じく韓国映画『トガニ 幼き瞳の告発』(11)や『生き残るための3つの取引』(10)でも描かれていたが、韓国の公務員たちはワイロ漬けで不正がはびこり放題。役人もヤクザもまるで一緒。みんな自分や自分の身内が甘い汁を吸うことしか考えていない。そして、そんな役人たちの大ボスにあたるのが韓国大統領だ。

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