ベテラン芸能記者・本多圭が回顧する、“怨歌歌手”藤圭子さんの素顔とは
#宇多田ヒカル #本多圭の「芸能界・今昔・裏・レポート」 #藤圭子
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!
宇多田ヒカルの母親で演歌歌手の藤圭子さんが、8月22日早朝、新宿区内のマンションから飛び降り自殺した。享年62歳の若さだった。
今年3月、藤さんにとっては“恩師”といわれる作詞家の石坂まさをさんが亡くなった際、関係者が藤さんに連絡を取ろうとしたが、誰も彼女の連絡先を知らず、行方不明だったという。その藤さんが、デビュー曲「新宿の女」のキャンペーン時、石坂さんと駆け回っていた新宿という街にあるマンションから飛び降り自殺したというのは、因縁めいたものを感じた。
藤さんは69年に同曲でデビュー。この曲は「バカだな バカだな だまされちゃって♪」というフレーズが、70年代の全共闘世代の若者たちの共感を呼んだ。70年に発売された「圭子の夢は夜ひらく」はさらなる大ヒット、その年の音楽賞を総ナメにした。翌年には前川清と電撃結婚し、世間どころか、恩師である石坂さんをも驚かせた。しかし、結婚生活は長く続かず、1年で離婚。デビュー当時から藤さんを知る音楽関係者は「藤圭子はまだ、大人の女になりきっていなかったために、夫婦生活がうまく行かなかった」と当時、筆者の取材で語っていた。
その後、藤さんは79年に突然、引退を発表。アメリカに渡ったが2年後に帰国して、歌手復帰。翌年にはアメリカ滞在中に知り合った宇多田照實氏と再婚し、長女・宇多田ヒカルを出産した。夫婦でバックアップしてヒカルをデビューさせた後に、宇多田氏と離婚、再婚を繰り返して、07年に完全別離した。
離婚と前後して、藤さんはケネディ空港で所持していた42万ドルを没収された。その金はラスベガスのカジノで使う予定の金だった。藤さんはデビュー間もない頃にマージャンを覚え、それ以来、時間があればマージャンに没頭する無類のギャンブル好きだった。09年には、没収された42万ドルは返却されたが、それ以降、藤さんの消息は不明だった。日本に戻っているという情報もあったが、藤さんは業界関係者と一切、連絡を絶っていたことから、居場所はわからなかった。
しかし、今年3月の恩師の石坂さんの葬儀には姿を現すと誰もが期待していたが、ついに藤さんの姿を見ることはできなかった。藤さんと石坂さんの関係を知る音楽関係者は「藤さんは、石坂さんにさんざん利用されたと思い込んでいて、石坂さんを恨んでいました。彼のことだけじゃない、寄って集って彼女を食い物にした業界関係者を恨んでいましたよ。だから日本に戻ってきても、芸能関係者とは連絡を絶っていたんです」という。
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