「17万人のメッセンジャーが生まれた」若者を動かした選挙フェスと、三宅洋平のこれから
#インタビュー #選挙 #参院選
自民党が大勝利を収めた先の参院戦だが、その一方で、新たな変化の兆しがあった。落選した比例代表候補の中で、ダントツの17万6970票を集めた無名の新人候補・三宅洋平。緑の党比例区から立候補したミュージシャンだ。選挙資金2000万円をカンパで集め、「選挙フェス」なる新たな手法で既存の選挙戦に殴り込みをかけた。ステージを組み、ミュージシャン仲間を次々と登場させ、バンドの伴奏に合わせてポエトリーリーディングのような演説を行うそのスタイルは、若者の間で広がる政治忌避を、街頭のフェス化によって変えようという試みだった。「選挙に立候補するのは、俺がみんなより強いからじゃない。あなたと変わりない俺が、勇気を振り絞っただけ」「俺はもう限界までやってるよ、君はどうするの?」――。自分への投票は二の次で、あくまで政治参加を呼びかける三宅の姿は、明らかにほかの候補者とは一線を画していた。全国17カ所で行われたこの選挙フェスは回を追うごとに動員を増やし、投票日前日、渋谷・ハチ公前には1万人以上の人が集まる騒ぎとなった。
惜しくも三宅氏は当選とはならなかったが、選挙後、NHKや朝日新聞でも取り上げられるなど各所で話題となった選挙フェスとは、いったいなんだったのか――。三宅氏に話を聞いた。
――選挙を終えて約20日たちましたが(※取材時)、まずは現在の心境を教えてください。
三宅洋平氏(以下、三宅) 自分みたいな存在が選挙に出るっていうのはすごく勇気もいったし、どうなるんだろうっていう不安もあった。でも選挙中はとにかく死ぬ気でやっていたから、そういうのを突破した感はありますね。充実感とは少し違うけれど、チェックマークが一個ついたなと。これを受けて、さてこれからどうするか、というところですね。
――無名の候補者がまさかここまでやるとは、有権者の大半は予想していなかったと思います。
三宅 もっと完璧な立候補の仕方、たとえば今回は見送って2年くらい準備して、いろいろ根回しして、政治家とのコネクションを作って、お金もためて、隙のない戦略で立候補すれば、今回の2~3倍の票を取ることができたかもしれない。けれど、僕は不完全な候補者として、みんなに問題提起をしたかったということもある。選挙制度そのものについてや、マスコミの報道の仕方とか、今回の僕の立候補を通して、みんないろいろな矛盾に気付いたはずです。それに、これまでスタンダードとされていた、議員秘書になって立候補するという枠組みが、少し広げられたとは思っています。
――やはり17万6970票は、重みがありますか?
三宅 あまりそうは感じてないですね。今回17万票だったというだけで、次の選挙ではまたゼロから1票ずつ取っていく、理解を得ていくということですから。ただ、今回の選挙を通して、17万人のメッセンジャーが生まれたとは思っています。もちろん政治家としては未知数だし不完全だし、目の前の経済を保証してくれる政党でもない。それでも三宅洋平を信用したいと思ってくれた人たちが、僕があがいて見せたように、これから周りの人たちにアクションを起こしていくための自信と勇気を持ったはずですから。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事