深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.236
もしも『モテキ』の幸世がオラオラ系だったら? 大根仁監督が接写した若者生態大図鑑『恋の渦』
2013/08/22 18:00
#映画 #パンドラ映画館
見事なまでにチャラい9人の男女が集まった恋愛群像劇『恋の渦』。おのれの欲望に向かって突き進む若者たちの姿が赤裸々に描かれる。
映画『モテキ』(11)のいちばん印象に残ったシーンとして、幸世(森山未來)の部屋に終電を逃したみゆき(長澤まさみ)がお泊まりするくだりを思い浮かべる人は多いのではないか。パジャマ代わりのTシャツに着替えたみゆきと幸世との糸を引くようなキスシーンにかつてないMAXエロを誰もが感じた。大根仁監督が敬愛するカンパニー松尾の“ハメ撮り”的手法を駆使し、長澤まさみの知られざる表情を引き出してみせたお手柄シーンだ。劇場デビュー作となった映画『モテキ』の大ヒット後は、ホームグランドである深夜ドラマ枠に戻って『まほろ駅前番外地』(テレビ東京系)で安心感のある職人技に徹した大根監督だが、2年ぶりの劇場映画『恋の渦』では再び過激な演出に挑戦。2時間20分の長尺の中で、幸世とみゆきが見せたエロシーン&リアルな恋愛模様が延々と奏でられる。
すでに2013年4月にオーディトリウム渋谷で、7月に渋谷シネクイントで限定上映された『恋の渦』は、今どきの若者たちの本音を下世話に描き切った内容が評判となり、連日ソールドアウトに。ツイッターで人気がさらに広まり、8月31日(土)より全国ロードショー公開されることになった。ただし、『恋の渦』には森山未來も長澤まさみも出てこない。というか知名度のある俳優はゼロ。まったくネームバリューのない役者たちしか出てこない『恋の渦』だが、それでも作品の面白さからチケットを求める人たちが劇場に詰めかけた。
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