「秋田書店だけじゃない!」当選者なんて存在しないのか……雑誌懸賞の知られざる真実
#出版
さて、今回の秋田書店の懸賞問題は、こうした規定以前に編集者がモラルのカケラもなかったということができる。しかし、この事例はまだ甘いほうだ。実は、世の中には読者プレゼント自体がすべてフィクションという雑誌もあるのだから。
そんなムチャな行為を行っているのが、エロ本や実話誌だ。ある実話誌の編集部員は語る。
「だいたい読者プレゼントページは、新人編集部員の仕事です。まず、プレゼントする商品の画像をネットから拾ってきて、ラフを書いてデザイナーに渡します。商品なんて最初からあるはずがありませんよ」
こうした雑誌を読んでいると、かなり高額の商品や、人気アイテムが読者プレゼントとして多数掲載されている。それもそのはず、何しろ商品がないのだから、いくらでも掲載し放題である。
「そもそも、500円くらいのエロ本の懸賞でMacBook Airが当たったりするワケないでしょう。本気にしているほうが、どうかしていますよ」(同)
とはいえ、エロ本や実話誌でもすべてがウソではない。この編集者も、プレゼントをちゃんと発送したことはあるという。
「AV会社から不良在庫をもらってきて“読者全員AVプレゼント”をやったときです。読者から発送用の切手代を取ってしまったので、ちゃんと送らないとマズいということになって……。すべて発送するのに、半年くらいかかりましたよ。その間、何度も読者から『いつになったら届くんだ!』と怒りの電話がかかってきました」(同)
さらに、「読者セックスプレゼント」という、もはや景品表示法うんぬんで終わらない、とんでもない懸賞企画を告知したことも。
「適当に安い企画女優を、モテない男と絡ませればいいやと思っていたんですが、応募してくる男が、みんな封書で手紙に『私は、生まれてから一度も女性と付き合ったことがなく……』とか切実な思いを綴ってくるんです。あまりにもヤバすぎるということで、編集部員が当選者のウソ企画になりました」(同)
懸賞なんて“当たったらお得”程度に考えるのがちょうどいいようだ。
(取材・文=緑林学)
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