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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『リアル脱出ゲームTV』の挑戦
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第31回

テレビの危機を脱出する『リアル脱出ゲームTV』という解答

 ヒントを与えながら、同時にミスリードもしていくのが巧みだ。驚くべきことに、まだそんなヒントが出る前の、番組開始からわずか9分弱で最終問題正解者が「1人」出たことを示すテロップが表示された。だが、決して簡単な問題ではないことは、上記の「暗号」からも分かるはずだ。実際、この日の正解率は約1.97%だったという。(ちなみに第1回は1.8%、第2回は0.1%)

 実はこの日、前述の香山のセリフからも分かるように、TBSでは『リアル脱出ゲームTV』放送直前にサッカーの日本代表戦が放送されていた。バカリズムからの出題VTRも、サッカースタジアムのオーロラビジョンからのものだった。ちなみに日本は、ウルグアイ相手に2-4で敗れた。

 ん?

 そう思い返した瞬間のカタルシス!

 そう、暗号の「(2-4)」の部分は、サッカーの試合結果を意味していたのだ。だとすれば「81」は日本を示す番号、すなわち、日本の国際電話の国番号。「598」は言わずもがなだ。そこから導き出される場所は、試合が行われていた「宮城スタジアム」しかない!

 ひらめきを得た瞬間の快感を誘発する、絶妙なさじ加減の難易度。リアルタイムで見ているからこそ解ける問題、という工夫に驚嘆する。しかし、サッカーはもちろん生放送。その結果は試合終了まで分からない。しかも、ドラマ中にもサッカーの映像が挟み込まれていた。一体どのようにして作られたのだろうか?

 もともと、この番組はバラエティ班とドラマ班ががっぷり組んで制作されている。それに加え、今回はスポーツ班も協力という、史上まれに見る制作体制だった。しかし、それだけではない。実は番組スタッフのツイートによると、どんな試合結果になっても対応できるよう、25パターンものVTRを準備していたという。そして特別なアナウンスこそなかったが、バカリズムが進行していた部分は「生放送」だった。多くの番組は「生放送」の場合、それ自体を強調し煽る。特にそれが作り手として困難な「生ドラマ」であればなおさらだ。しかし、この番組ではそれをしなかった。なぜなら、「生放送である」という事自体が、謎解きの重大なヒントになってしまうからだ。いや、それ以上にスタッフは分かっていたのだろう。「生放送」自体が番組を面白くするのではない、と。生放送であろうがなかろうが、そのライブ感こそが大切なのである。それは別に、「生放送」「生ドラマ」などと煽らなくても視聴者に伝わるのだ。

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