判断基準は「児ポ法の条文と判決」──国会図書館が「児童ポルノ」閲覧制限措置に関する文書を開示
#児童ポルノ
このうち、制作者が逮捕されるなど事件となったものについては、理由の部分が詳細に綴られる。その一方で、判断があくまで主観にたよっているものも、多数見受けられるのだ。理由の部分について、抜粋してみよう。
児4:著者が児童ポルノ法制定時に児童ポルノと認識し、廃棄したという(=黒塗り=)からの平成12年3月28日付け文書による)。
児12:全96p中35pが全裸及び全裸に等しい写真。半裸の写真又は着衣だが不自然な死体の写真が相当数ある。局部に線を入れる等局部を強調した写真がある。被写体について、表紙に「少女」との記載がある。
児46:平成17年6月20日、館から出版者に照会したところ、児童ポルノ法制定時に、本=黒塗り=については、児童ポルノに該当し、その製造・販売が処罰の対象になると判断したため、以後一切関与しないこととしたとの回答を得た。
児130:=黒塗り=(参考資料)によると、平成=黒塗り=年=黒塗り=月ころ、当時=黒塗り=歳だった女子高校生のわいせつな映像を本資料の附属DVDに使用し児童ポルノを製造・販売したとして、=黒塗り=と当時=黒塗り=だった男性が児童ポルノ禁止法違反の容疑で平成=黒塗り=年=黒塗り=月=黒塗り=日に書類送検された。(中略)平成19年6月13日、発行者である=黒塗り=に電話にて確認したところ、女子高校生の映像は、本体冊子「=黒塗り=」の「=黒塗り=」(p32)及び附属DVD(全180分)の「=黒塗り=」の「=黒塗り=」(約22分)で使用されており、本資料はすべて警察に押収されたため、発行者の手元にはないとのことであった。発行者は、本資料について利用制限措置が採られても、やむを得ないと考える旨を表明している。なお、本資料は=黒塗り=を最後に廃刊された。
これらの文書からは、とにかく少女がハダカになっているものは「児童ポルノ」に該当する方針で決定がなされていることが伺える。しかも、開示された文書が配付資料であることからも明らかなように議事録が作成されているわけではなく、決定過程は極めて曖昧だ。
図書館における閲覧制限に関しては、1976年に名古屋市立図書館で「童話“ピノキオ”に障害者差別の表現が含まれているので排除して欲しい」と障害者団体が要望があった時に生まれた「検討の三原則」というものがある。
これは「職制判断を避け全職員で検討する」「広く市民の意見を聞く」「当事者の意見を聞く」からなるものだ。名古屋市立図書館ではいったんは書架から外す措置を行ったものの3年あまりに及ぶ検討の末に、通常通り自由に利用できるようになった。ところが「児童ポルノ」に関する国会図書館の措置は、特殊な事情を楯に、こうした経験を無にしているように感じられる。
国会図書館に対しては、今後もさまざまな形でアプローチを行っていく予定だ。
(取材・文=昼間たかし)
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