エメリッヒ監督がまたまホワイトハウスをぶっ壊す!『ホワイトハウス・ダウン』
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今週紹介する新作映画2作品はいずれも、命を賭して大切なものを守ろうと奮闘する男たちを描くハリウッド製アクション。ただし、片やド派手な破壊シーンが満載の娯楽活劇、他方はリアルな描写を積み上げる骨太のドラマと好対照で、見比べるのも一興だ。
8月16日公開の『ホワイトハウス・ダウン』は、ディザスタームービーの巨匠で“破壊王”の異名を持つローランド・エメリッヒ監督が、アメリカを象徴する建物である米大統領官邸を本格的にブチ壊すアクション大作。議会警察官のジョン(チャニング・テイタム)は、大統領(ジェイミー・フォックス)のシークレットサービスになるため面接試験を受けるが、不採用に。その足で幼い娘とホワイトハウス見学ツアーに参加したところ、運悪く謎の武装集団による襲撃に遭遇してしまう。ホワイトハウスが破壊され占拠されるという極限状況で、ジョンは大統領と娘、そしてアメリカの命運をかけた戦いに身を投じる。
『インデペンデンス・デイ』(96)、『2012』(09)といった過去作でもホワイトハウスを一瞬で壊滅させてきたエメリッヒ監督だが、本作では物語の舞台を同官邸に据え、敵味方のバトルでじわじわと破壊されていく様子をたっぷりと描く。ダンサーの経歴を持ち運動神経抜群のチャニング・テイタムが、迫真のファイトシーンを熱演。大統領がスニーカーをはいた足で敵に蹴りを入れて攻撃したり、大統領の安否が不明なのに死んだと見なして軍がホワイトハウスを攻撃するなど、トンデモな描写もエメリッヒ監督ならでは。6月に公開されたジェラルド・バトラー主演の『エンド・オブ・ホワイトハウス』とストーリー設定がよく似ており、興行成績、評価でどちらに軍配が上がるかも気になるところだ。
続いて8月17日に封切られる『エンド・オブ・ウォッチ』は、ロサンゼルスの犯罪多発地区を舞台に、巡査たちの死と隣り合わせの日常と友情をリアルに描くポリスアクション。恋人ジャネット(アナ・ケンドリック)との結婚を考えている白人巡査テイラー(ジェイク・ギレンホール)と、相棒のメキシコ系巡査ザバラ(マイケル・ペーニャ)は、LAで最も治安の悪いサウスセントラル地区を担当し、日々体を張って職務をこなしている。パトロール中に思いがけずメキシコ麻薬カルテルの秘密に触れた2人は、カルテルから暗殺指令を受けたギャングたちに命を狙われるようになる。
監督は、10代をサウスセントラル地区で過ごし、キアヌ・リーブス主演の刑事ドラマ『フェイク シティ ある男のルール』でもメガホンをとったデビッド・エアー。テイラーが課題の映像制作のため、勤務中にビデオカメラを携帯してパトロール現場を撮影しているという設定が活かされ、記録ビデオの映像が適宜挿入されることで、犯罪が発生する現場や容疑者逮捕の瞬間を至近距離から目撃しているかのよう。緊迫したシーンや殺伐とした描写が続くが、恋人や家族とのやり取りなど和ませる場面も。テイラーとザバラの他愛ない会話と熱い絆、衝撃的な終盤も含め、リアルさに徹底してこだわった力作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『ホワイトハウス・ダウン』作品情報
<http://eiga.com/movie/58261/>
『エンド・オブ・ウォッチ』作品情報
<http://eiga.com/movie/77535/>
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