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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.236

のび太とドラえもんが60年後に体験する物語!? “泣ける”SF介護コメディ『素敵な相棒』

sutekinaaibo3.jpgジェニファー(スーザン・サランドン)の勤める図書館もデータベース化され、閉館することが決まった。古き善き物が次々と消えていく。

 人間とロボットとの間に友情は成立するかというメインテーマに加え、『素敵な相棒』はもうひとつのテーマを内包している。人間にとっての死と記憶の関係性だ。認知症の初期症状の疑いがあるフランクは、自分が身に付けた盗みのテクニックを後世に残したいという願望を抱いていたが、堅気の生活を送る息子にはさすがに気が引ける。そこで代わりに従順な相棒・ヘルボに伝授する。自分が密かに磨いてきた裏技の後継者が現われ、フランクは安堵感を覚える。だが、小さな街で盗難事件が相次いだことから、前科のあるフランクは当然ながら警察から目を付けられてしまう。事情聴取に訪れた警官たちを玄関に待たせ、これまでフランクに寡黙に仕えてきたヘルボが逆に指示を出す。「自分の中に記録されているメモリーをすべて消去するように」と。そうすれば、フランクがヘルボと共に盗みを働いた証拠も消滅する。だが、認知症の恐怖に怯えるフランクは、ヘルボのメモリーを消去することができない。ロボットにとって記憶の消去は死ではないのか? フランクの健康を願うヘルボの献身的な愛情と親友であるヘルボとの思い出を消し去ることができないフランクの葛藤が本作のクライマックスとなっている。

 「ロボットの研究は、人間を知る研究でもある」と石黒博士は語っている。ロボットについて考えることは、人間の心の在り方を想うことでもある。ドラえもんが誕生する2112年までに、人間の心の謎はどこまで解明されているだろうか。
(文=長野辰次)

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『素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー』
監督/ジェイク・シュライアー 脚本/クリストファー・D・フォード 
出演/フランク・ランジェラ、ジェームズ・マースデン、リヴ・タイラー、ジェレミー・ストロング、ジェレミー・シスト、ピーター・サースガード、スーザン・サランドン 
配給/角川書店 8月10日より角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
中 (C)2012 Hallowell House, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
<http://sutekinaaibou.com>

◆『パンドラ映画館』過去記事はこちらから

最終更新:2013/08/15 18:00
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