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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『あの花』長井監督インタビュー
『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』公開記念インタビュー

「正直、ヒットするとは思わなかった」長井龍雪が語る『あの花』制作秘話とアニメの可能性

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――結果、イベントは大成功でしたよね。そもそも『あの花』って、どの年代をターゲットにしていたんでしょうか? ノイタミナ枠だったので、20~30代ぐらいなのかと思ってましたが。

長井 いや、もうちょっと若い世代ですね。作ってる僕が30代後半だから、その年代の雰囲気は出ちゃうんですけど、30代が懐かしがるものって、ちょっと気持ち悪いなって思って(笑)。もうちょっと若い人たちが何かを感じられるように、とは考えてました。

――でも、フタを開けてみれば30~40代の人たちにも支持されました。世代というより、あまり明るい青春を送れなかった人たちからも共感を得られたというか。

長井 そうですね。僕も、そんなキラキラ光る青春時代はなかったですから。でもじんたんたちって、物語中でキラキラして見えるんですけど、やってること自体はすごく鬱々としてる。鬱々していてもいいんだよっていう、自己肯定の話なのかなって。

――そんな裏テーマがあったんですか!?

長井 今にして思えばですけどね(笑)。作っている最中はわりと入り込んでるので、キャラクターがつらいときは「つらいよね」って思いながら作ってたりもするんです。終わって、いい作品だと捉えてくれるお客さんがいて初めて、そういうふうにも見てくれてたんだって思えるんですよ。

――監督としては、何にポイントを置いて演出をしていたんでしょうか?

長井 やはり感情表現が一番の土台になっていますね。もともとの企画が、「小学生の頃に仲良かった友達って、大人になると疎遠になるよね」というところから始まったんです。関係性の話を根っこにして、各キャラクターの気持ちの動きが見えるようにしたいと思って作ってました。

――事故で死んでしまった女の子・めんまをここまで前面に出すことは、最初から決めていたんですか?

長井 いえ、最初の設定では狂言回しみたいな役割だったんですよ。それが話を進めるにつれて、重要度がどんどん増していった。正直「じんたんって、そんなにめんまのこと好きだったのか」って僕らが思うぐらい(笑)。「小学生のときの話だぞ!?」って思いながらも、そうなっていったんですよね。最初は第1話みたいにふわっと現れてふわっと消えるぐらいの予定だっためんまが、ふわっとは消えられない感じになってきた。そういう意味ではとてもライブ感のある作品でしたし、そこに役者さんの声と芝居が入ることで、性格的な部分がさらに膨らみました。

――じんたんについては、どう捉えていましたか? 最初は学校にも行かず家に引きこもっているという、主人公らしからぬ主人公でしたが。

長井 序盤の、彼が鬱々としてるときはとても共感できたんです(スタッフ一同笑)。でも「なんかこいつカッコイイな」って思いだしたら、僕とは距離ができてしまいましたね(笑)。じんたんは一番成長が見えるキャラクター。乗っかりやすい、見えやすいキャラクターではありました。

――『あの花』は、普段アニメを見ない人も見やすい作品です。深夜アニメ慣れしたファンに向けた作品と、区別をしていたんですか?

長井 いや、僕は、間口は広く取りたいな、といつも思ってるんです。実は、僕の奥さんがアニメを全然見ないんですよ。ですから常に、うちの奥さんでも見られるアニメを作る、というのは意識してます。逆に言うと、アニメファンだけに向けて作ることはあまり考えてないですね。でもうちの奥さんにとっては、『あの花』でさえアニメってだけでハードル高いらしくて。どんな話なのって聞かれて説明しても、最中に『やっぱりいいわ』って遮られるし、まず褒めてはくれないですしね(一同苦笑)。なんだろう、このつらい話……愚痴ではないですよ(笑)。

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