東京キー局がシカトした“米軍基地封鎖”の顛末! 地方局によるスクープドキュメント『標的の村』
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三上 「どうして全国ネットで取り上げられなかったのか、各局を訪ね歩いて私が訊きたい(苦笑)。現場には各系列のカメラが入っていたんです。他局が扱わなかった理由はいくつもあるかと思います。ひとつは普天間基地が完全封鎖された9月30日は日曜日で、このニュースの重大さを認識できるデスクが少なかったのではないかということ。もうひとつは旗の問題。沖縄では抗議活動の際には大小様々な団体の旗が掲げられるのですが、団体や政党の旗などがテレビに映ることを全国ネットのニュース番組は嫌うんです。特定の団体の宣伝に繋がるという理由からですが、沖縄でこういった運動を取材撮影する際にはどうしても旗が映り込んでしまう。以前、辺野古基地建設に反対する海上闘争を追ったドキュメンタリーを全国放送した際、東京のプロデューサーから『二度とこういうのはやらないでくれ』と厳しく注意されたこともあります。でも、旗がどうのこうのという感覚自体が何かに囚われているように私は感じるんです」
高江区のヘリパット建築現場で、そして普天間基地ゲート前で、市民と体制側との間でつかみ合いの衝突が起きる寸前のタイミングで、それぞれ沖縄民謡が聞こえてくる。抗議の座り込みをする市民も強制排除しようとする側も、この民謡を耳にしてハッとする。この民謡は八重山諸島に伝わる「安里屋ユンタ」。琉球政府と薩摩藩との二重課税にあえいだ八重山の庶民たちが歌い伝えてきた田植え歌だ。今も昔も沖縄の人々は二重支配に苦しめられ、同じ沖縄人同士で争い続けていることを物語っている。沖縄の人たちが歌う「安里屋ユンタ」を掻き消すように、ついにオスプレイが沖縄に舞い降りてきた。
(文=長野辰次)
『標的の村』
ナレーション/三上智恵 音楽/上地正昭 構成/松石泉 編集/寺田俊樹、新垣康之 撮影/寺田俊樹、QAB報道部 音声/木田洋 MA/茶畑三男 プロデューサー/謝花尚 監督/三上智恵 制作/琉球朝日 配給/東風 8月10日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー (c)琉球朝日
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