東京キー局がシカトした“米軍基地封鎖”の顛末! 地方局によるスクープドキュメント『標的の村』
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沖縄の人たちがオスプレイを嫌うのは、事故の多い欠陥機という理由だけではない。オスプレイは米軍と日本政府の両者に沖縄の人々が欺かれてきた歴史の象徴となっているからだ。米軍基地返還運動が最大の盛り上がりを見せたのは、1995年に起きた3人の米兵による12歳の少女への拉致暴行事件がきっかけだった。絶えることのない米兵による暴行事件に沖縄県民の怒りが爆発し、日米両政府は普天間基地の返還を決める。そこで浮上してきたのが名護市辺野古への移転案だった。だが、この辺野古移転案は米軍にとっては渡りに船。もともとベトナム戦争時に軍港付きの基地を辺野古に作ることを予定していたが、予算不足で断念していたのだ。それが今回、日本の予算を使っての移転が決まろうとしている。日本政府がギリギリまで伏せていたオスプレイの配備、基地移転の茶番……。オレたちをバカにするのもいい加減にしろ、という沖縄の人々の怒りがオスプレイに向けられている。
オスプレイ配備を直前に控えた2012年9月29日、沖縄戦や米軍統治期を知るおじい・おばあ世代が先頭に立ち、一般市民の座り込み&路駐によって普天間基地の全ゲートがすべて封鎖されるという前代未聞の騒ぎが起きる。フェンスの中から米兵たちが冷ややかな視線を送る中、懸命に座り込みを続ける人々を地元警察が強制排除していく。両者が揉み合う中、「ウチナンチュー(沖縄人)同士で、なんでこんなことしてるんだよ!」という悲痛な叫びが米軍基地ゲート前に響く。センセーショナルな映像だが、米軍基地が市民によって封鎖されたというニュースは琉球朝日と同じ系列のテレビ朝日が取り上げた以外は他の東京キー局では黙殺されてしまった。
本作は2012年9月にテレビ朝日系『テレメンタリー』の枠で放送された30分番組をベースにしたもの。三上智恵監督は、琉球朝日放送でアナウンサーと記者を兼ねており、オスプレイ配備を阻止する目的で番組を作ったと語る。しかし、ローカル局の力では現実を変えることは叶わず、敗北感の中で普天間基地封鎖の顛末を取材し、91分の長編ドキュメンタリーに再編集した。上京した三上監督に普天間基地封鎖のニュースが全国放送からほぼ無視されてしまった理由を尋ねたところ、以下のように語った。
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