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日刊サイゾー トップ > その他  > 20年ぶりの大ヒット曲「潮騒のメモリー」に隠された、小泉今日子の歴史とは?

20年ぶりの大ヒット曲「潮騒のメモリー」に隠された、小泉今日子の歴史とは?

 同様に、ショートカットにしてイメチェンを図った後のアイドル小泉今日子の記憶しかない人の間では、『あまちゃん』で若き日の天野春子を演じる有村架純を見て「キョンキョンなのに聖子ちゃんカット!」といったリアクションも見受けられるが、デビュー当時の小泉今日子こそは、聖子ちゃんカットで雨後のタケノコのように次々と出てきた聖子ワナビー・アイドルの代表格だった。

 そうした歴史を踏まえると、今回の「潮騒のメモリー」はより味わい深いものとなる。歌詞のキーワードとなる”マーメイド”は、小泉今日子のブレイク曲「渚のはいから人魚」を連想させる以上に、松本隆×呉田軽穂(松任谷由実)の黄金コンビによる松田聖子「小麦色のマーメイド」をダイレクトに想起させるもの。何よりも決定的なのは、歌詞の最後の《好きよ 嫌いよ》という「小麦色のマーメイド」からそのままいただいた必殺フレーズだ。作詞・宮藤官九郎、作曲・大友良英、Sachiko Mの念頭にあったのは、キョンキョンではなく聖子だったのだ。

『Diamond Bible [Box set]』(SMR)収録

 感動的なのは、現在47歳の小泉今日子は、そんな聖子オマージュに溢れたこの楽曲を、安易に聖子風に歌うのではなく、プライドを持ってあのキョンキョン声で、それでいて当時のキョンキョンは決してしなかったブリッコ風のアクセントまでつけるというサービス精神まで発揮して、見事に歌いきっていることだ。

 29年前、”あんみつ姫”による「クライマックス御一緒に」は、企画物であるという理由から、テレビの歌番組では一度も歌われることがなかった。注目されるのは、果たして小泉今日子がいつ、どこで、今回の大ヒット曲「潮騒のメモリー」を初めて歌うのかということ。圧倒的に有利なシード権を持っているのが、『あまちゃん』のお膝元NHKの、今年大晦日の紅白歌合戦であることは間違いのないところだが……さて。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

最終更新:2013/09/13 14:21
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