フジロック、サマソニ、ライジングサン……利権と欲望が絡む夏フェス裏ガイド
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26日から始まった「FUJI ROCK FESTIVAL’13」を皮切りに今年も”夏フェス”の季節がやってきました。普段なかなか見ることのできない豪華アーティストたちの生のライブが体感できるとあり毎年大盛況の夏フェス。今やCD売り上げの低迷が続く日本の音楽業界を支えるひとつの柱にもなったフェスですが、その裏側には業界のさまざまな思惑や利権が渦巻いているとか……。サイゾーでは過去に”夏フェス”を徹底研究しています。フェス参戦前夜にご一読あれ!
■今回のピックアップ記事
『フジロック、サマソニ、ライジングサン……利権と欲望が絡む夏フェス裏ガイド【1】』(2009年8月号「夏フェス【裏】ガイド」より)
──2000年以降、低迷を続けている音楽業界にあって、ほぼ唯一好調と言われてきたのがロック・フェスティバル産業だった。00年には30億円程度だったフェス産業の規模は、わずか3年で3倍以上にもふくれあがったが……。
今や、100億円以上の市場規模で推移している夏の風物詩、音楽フェス。上記の4大フェスを筆頭に、現在では年間100以上のフェスが全国津々浦々で開催されている。そう、まさに業界は”フェスバブル”の様相を呈しているのだが……業界関係者が語る。
「正直、音楽興行は儲かりにくいビジネスです。周知の通り興行は、戦後、ヤクザらが仕切ってきた歴史があるため、シマをめぐる不文律やぶら下がりの業者がいまだに多い。そのため支出を切り詰めにくい構造が出来上がっており、新規団体が参入しづらい状態だった。その不文律を打ち破ったのが出版社のロッキング・オン。異業種参入の同社が主催しているロック・イン・ジャパン・フェスは、既存業者とのしがらみがないゆえに収益構造を効率化できました」
また、一度に数万人規模の動員を実現するロック・フェスは、新人をプロモーションする絶好の機会でもある。あるレコード会社制作担当はこう語る。
「新人アーティストは出演料をもらうのではなく、出演料を払うことを求められる。ただ、音楽誌に1ページのカラー広告を打ったとして50万円、フジロックが要求する”協賛金”は30万円。音楽誌の影響力がなくなった現在、喜んで協賛金を払うレコード会社は少なくないんじゃないかな」
つまり、現在フェスには、広告メディアとしての機能もあるのだ。もちろんこの金額はあくまで一例であり、少額のギャラが支払われる例、高額の協賛金を求められる例、果ては億単位の出演料が支払われる例などアーティストによってさまざま。だが、こうした”フェスバブル”にも陰りが見え始めている。06年以降、観客動員数が漸減、フジロック関係者によると、09年は不況の影響もあり、スポンサーの数も例年よりも減る見込みだという。
「近年赤字を出しているサマーソニックを主催するクリエイティブマンはエイベックスに借金をしていて、07年のサマソニに倖田來未が出演したのはそのバーターだともっぱらですよ(苦笑)。また、影響力を自覚して増長しているフェス側に反感を持っている関係者は多い。05年に桜井和寿とともにap bankをスタートさせた小林武史は、フェスが結局新たな利権の場になっていることに憤慨を覚えて、既存フェスへの出演を控えて、アーティストたち自身が主催するしかないと決断したという話ですし、くるり主催の京都音楽博覧会(07年)、ASIAN KUNG-FU GEN ERATION主催のNANO-MUGEN FES.(03年)など、アーティスト主催のフェスはその後増え続けています」(前出の業界関係者)
最初のフジロックが開催されてから12年。フェスの登場によって部分的ながらやっと再編された興行利権の構造は、新たな既得権益のために、すでに業界内で敬遠され始めている。フェスははたして、何をもたらし何を壊したのか。音楽フェスをめぐるビジネス(と、裏話)を考察したい。
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