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白い髪に白い肌……差別を受け続けるアルビノ患者の日々とこれから『アルビノを生きる』

 もちろん、すべてのアルビノ患者がそうであるというわけではない。髪を黒く染め、目立たないように、ひっそりと生活を送るアルビノ患者も多い。石井がホームページを開設すると、「ひっそりと生きているのに、自分たちに注目が集まるような振る舞いはしないで」「こんなホームページはやめてほしい」と、アルビノ患者からのメールも受けた。

 だが、近年では石井らの活動が実り、アルビノとして生まれた子どもに「どうせ見られるんだからかっこよく」と鮮やかな色の服装にサングラスをかけさせる親も現れ、通りすがりの人々は「ベビー服のモデルみたい」と、子どもをはやし立てる。「世間に対してみっともない」「先祖が悪いことをした報いだ」と言われ、世間から姿を隠さざるを得なかった過去に比較すれば、アルビノを取り巻く状況は大きく変化している。

 水泳選手としてパラリンピックを目指す者、寺の住職として仏と向き合う者、大学院に進学し、障害者と健常者をつなぐ研究を行っている者、健常者とほとんど変わることなく、さまざまな世界でアルビノ患者たちは活躍をしている。

 正確な数字は把握されていないものの、1億3000万人の日本人のうち、おそらく1万人あまりがアルビノとして生活している。アルビノ患者は肌が焼けてしまうために、強い日差しの下に出ることができない。だからといって、彼ら1万人の人生までをも日陰に押し込める必要はないはずだ。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

●かわな・きみ
1947年生まれ。70年に朝日新聞社入社。大阪本社学芸部、社会部を経て論説委員。社会福祉全般、高齢者や子ども、女性の問題に関する分野の社説を担当。2009年退社。現在、フリージャーナリスト。

最終更新:2013/07/26 21:00
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