国産表示でも半分以上が輸入品!? 養殖ウナギの原産地表示の怪
#中国
7月22日に土用の丑の日を控える中、ウナギ価格の上昇が続いている。養殖用の稚魚であるシラスウナギの不漁が主な原因で、水産庁によると、ここ2年でシラスウナギの相場は約3倍となっている。
とはいうものの、「年に1~2度の土用の丑の日くらいは奮発して国産ウナギを食べたい」というのが日本人の心情というもの。また、安全への不安が高まる中国産を避ける目的で、国産を選ぶ人も多いはずだ。
しかし、養殖ウナギに限っていえば、たとえ国産と産地表示されていても、元をたどれば輸入品、ということのほうが多いのだ。といっても、産地偽装というわけではない。
消費者問題研究所代表で食品表示アドバイザーの垣田達哉氏が、そのカラクリを明かす。
「産地表示について定められているJAS法には、『長いところルール』と呼ばれる原則が存在するんです。これは、例えば中国の領海で捕獲されたシラスウナギでも、中国での生育期間より、日本での成育期間のほうが長ければ『国産ウナギ』と表示できるというものです」
養殖ウナギとは、捕獲したシラスウナギを養殖池で成魚となるまで成育させたものだ。水産庁によると、昨年12月から今年5月までのシラスウナギの仕入れ量は約12.6トン。内訳で見ると、国産が約5.2トン。一方、中国を中心とする外国産が7.4トンとなっている。つまり、国産として出回っている養殖ウナギも、実際は半分以上が輸入品ということになるのだ。
こうした中、間違いなく純国産ウナギを食べるには、もはや天然物のウナギを探すしかなさそうだが、庶民にとっては養殖ウナギ以上に高嶺の花。しかし逆をいえば、中国産ウナギも育った環境が違うだけで、国産養殖ウナギと同種。そう思えば、牛丼チェーンのウナギも捨てたもんじゃない?
(文=牧野源)
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