ポテチは、酒やタバコの依存症と一緒!?『ポテチを異常に食べる人たち』
#本
時々、なんだか無性に食べたくなるポテチ。ひとたび袋を開けてしまえば、ポリポリパリパリ……わかっちゃいるけど、手が止まらない。気づけば中身は空っぽで、“ヤバイ、胃がめっちゃもたれてる……!”なんてことも。
とはいえ、普通の人ならば時々食べたくなる程度だと思うのだが、『ポテチを異常に食べる人たち』(WAVE出版)に登場する人たちは、まさに“ポテチ依存症”とも言うべき、ポテチへの依存っぷりを発揮している。
小柄で赤いヒールの似合う、美人のKさん(都内在住、28歳会社員)いわく、
「ポテチを食べると、口に入れた瞬間、脳から“何か”が出たー! という実感があって……(中略)。一言でいえば、『おいしいというより、気持ちいい!』という感じで、恍惚状態になれるんです」
とのことで、1日2~3袋は平らげ、仕事でイヤなことがあった時などには飲むようにガーッと食べたくなって、口の中に流し込んでしまうのだという。
また、元保険外交員の主婦で、言葉遣いも丁寧で会話上手なNさんは、
「発病するのはいつも、子どもに添い寝してもうすぐ寝つくというころ。体の奥底からものすごく強烈なイライラした感情がどっと吹き出してたまらなくなる。『もうダメだ!! むしゃくしゃした気持ちを思いっきり吹きっ飛ばしたい!!』という衝動で狂いそうになるんです。ただ、夜中に子どもを置いて遊びに出るわけにはいかないでしょう?(中略)財布をガシッとつかんで、歩いて3分のコンビニに駆け込み、ポテチとチョコレートを買い込むんです」
と語り、旦那さんが帰宅する深夜2~3時まで、ポテチを片手にテレビやDVD、コミックの世界に没頭するという。彼女たちにとって、スナック菓子がまるで酒やタバコのような役割になってしまっているのだ。
著者の幕内秀夫氏は、過激な切り口で現代の食文化を切り取り、世の中に警告を鳴らしてきた管理栄養士。スナック菓子のことを、やめたくてもやめられない緩やかな“ドラッグ”として位置付け、“たかが、ポテチの食べ過ぎでしょ?”という見方を払拭しようとしている。
ポテチ依存症とはなんなのか。どうして依存してしまうのか――。そもそも、ポテチを食べ始めたらやめられない、止まらない理由はなんなのか?
ご飯を抜いてでも、1日に何袋もポテチを食べないと気が済まない! という人は、ひょっとしたら、すでに依存症……かも!?
(文=上浦未来)
●まくうち・ひでお
管理栄養士。東京農業大学栄養学科卒業。フーズ&ヘルス研究所主宰。その土地ならではの食文化を生み出した風土・文化・歴史などを調査し「FOODは風土」を実感、提唱。帯津三敬病院において食事相談を行うほか、全国各地の社員食堂や学校給食の改善活動にも奔走中。近著に『夜中にチョコレートを食べる女性たち』(講談社)、『変な給食』(ブックマン社)、『子どもが野菜嫌いで何が悪い!』(バジリコ)、『なぜ、子どもはピーマンが嫌いなのか?』(西日本新聞社)などがある。
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