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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 武論尊先生にインタビュー!
『下流の生きざま』発刊記念インタビュー

『北斗の拳』原作者・武論尊が語る自衛隊時代、そして、恩人ちばあきおに伝えられなかった言葉

bronson_int03.jpg夜の街が大好きな武論尊先生。「最近は2勤1休ペースだよ。ウコンの力を
よく呑むようになったしなぁ」。稼いだ分は遊ぶって素敵!

──ちばあきお先生、作風と同様にとてもマジメな方だったんですね。

武論尊 オレが遊んでいる間も、あきおさんは仕事場に篭ってずっと漫画を描き続けていたはずですよ。仕事に対してあまりに真剣すぎて、それで苦しくなって、途中からお酒に逃げるようになったんです。オレと違って漫画に対して、常に真摯だった。だからオレは逆に「あきおさん、そんなに真剣に頑張らなくてもいいじゃないですか」と言いたかった……。『下流の生きざま』にも書いたけど、漫画の世界で戦死していった仲間は少なくないんです。戦死というか、いわば漫画との心中ですね……。

──『北斗の拳』の戦う男たちの姿は、やはり絵空事ではないようですね。

武論尊 うん、でも戦いのない世界はないですよ。サラリーマンの世界だって、どこの世界だって、戦わないことには生きていけない。仕事を取ってきて、こなすってだけでも一種の戦いだと思うんです。格闘だけが戦いじゃない。デスクワークだって立派な戦いですよ。自分の能力をどこまで出せるかっていうね。『北斗の拳』はただの格闘漫画じゃない、これはオレたちにもっと戦えと言っているんだと多くの人たちが感じてくれたから、あれだけの評価に結びついたんじゃないかな。生きていることが戦いなんですよ。

──それで本当に辛いときは、逃げ出しちゃえばいいと。

武論尊 そうです、働く人間には、休む自由もあるわけですから。オレみたいに仕事を全部中断して、パァ〜ッと北海道の牧場にでも行ってしまえばいいんです。一度人生をリセットしてから、またイチからやり直せばいいんです。

──そんなときこそ、ジャギのように小ズルく立ち回るべきですね。そろそろ時間のようです。洋画好きな武論尊先生は『ドーベルマン刑事』はクリント・イーストウッド主演作『ダーティーハリー』(71)、『北斗の拳』はメル・ギブソン主演作『マッドマックス2』(81)からインスピレーションを得たことで有名ですが、最近はぐっと胸に迫る映画はありました?

武論尊 CGばっかりの映画や3D映画は目がチカチカして苦手なんだよ。このところはあんまり面白い洋画に出会ってないなぁ。オレの運がよかったことは、連載の話が持ち掛けられた際にタイミングよく『ダーティーハリー』や『マッドマックス2』みたいな作品に出会えたこともあるよな。まぁ、言ってしまえば、態のいいパクリじゃないですか(笑)。最近はハリウッドもダーティーヒーローが人気みたいだから、ジャギみたいな悪役が活躍する新作を考えてみようか。ハリウッドのヤツらが唸るような物語を作ってみたいね。子どもの頃からずっと洋画を観てきたオレにとって、それは大きな夢なんだよ。
(取材・文=長野辰次/撮影=名鹿祥史)

●ぶろんそん
1947年長野県出身。中学卒業後、航空自衛隊に入隊。除隊後、本宮ひろ志の仕事場で資料係を務める。しかし、麻雀など遊んでばかりいたため、見かねた本宮の担当編集者から仕事を持ち掛けられ、1972年に漫画原作者としてデビューを果たす。以後、『ドーベルマン刑事』『北斗の拳』などのヒット作を放つ。史村翔名義でのヒット作に『ファントム無頼』『Dr.クマひげ』『サンクチュアリ』など。『北斗の拳』連載開始から30年を迎えた2013年3月、初の小説『原作者稼業 お前はもう死んでいる?』(講談社)、さらに7月に新書『下流の生きざま』(双葉社)を上梓した。

●『下流の生きざま公式ツイッター』
https://twitter.com/futabasha_karyu

●武論尊が語る『下流の生きざま』
http://youtu.be/wDq-4Vhjozk 

最終更新:2013/07/18 18:00
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