教育改革は宗教から始まった? 歴史から見る宗教と教育の深〜いカンケイ
#宗教 #創価学会 #幸福の科学
■新宗教の排他性と高度成長期の潮流
この点はほかの宗教に対する寛容性とも関係がある。寛容性が高い新宗教ほど、信者以外の生徒が多くなる傾向を見てとれる。立正佼成会は開祖である庭野日敬の精神が反映され、新宗連(新日本宗教団体連合会)への加盟など、積極的にほかの宗派や教団との連携に取り組んでいる。一方、こうした思想面で大きく異なるのが創価学会だ。最近は他宗教批判があまり見られなくなってきたが、かつての創価学会は、他宗教を邪教として強く批判していた。この排他的な性格には、日蓮の教えが強く関係している。
「現在では破門されていますが、もともと創価学会は日蓮正宗の在家の信徒集団です。そもそも日蓮がほかの仏教宗派を強く批判していました。『真言亡国、禅天魔、念仏無間、律国賊』(四箇格言)という有名な言葉が示すように、ほかの宗派を信じると、とんでもないことになるという意味のことを言っているわけです。しかし、そういう宗教団体は、実はごく一部で、大半はむしろ神社や伝統的仏教信仰との共存を前提としています」
宗教法人・幸福の科学系列の学校法人。2009年12月
設立。創立者は幸福の科学・大川隆法総裁。2010年
4月に幸福の科学学園中学校・高等学校が栃木県那須
町に開校。男女共学、全寮制を採用。16年には、大学
も開校予定。初代校長には元CMプランナーの喜島克明
氏が就任。
こうした中、70年代、80年代あたりから、日本の伝統的宗教に根ざさない教団が増えているという。この時期に活動を活発化させ、社会的に注目を集めた宗教としては、GLA総合本部、オウム真理教、法の華三法行、幸福の科学などがあるが、宗教社会学者の中には、これらを新新宗教と呼んだり、またハイパー宗教という特徴づけがされることもある。こうした教団が設立された背景として、情報化社会、グローバル化など社会の変化が考えられる。
「高度成長期はある意味で、近世との最終的断絶が進行する時期ともいえます。このとき、伝統的な宗教についての知識も急速に薄れていきました。神棚も仏壇もないという家が増えているのが、ひとつの例です。原因のひとつとして、核家族化が進んだことが考えられますが、地域ごとのしきたりというのも薄れていき、いわゆる日本的なものをきちっと守るというような感覚は乏しくなってきました」
こうした時代の変遷を前提条件とすると、あらゆる価値観が溢れる現代だからこそ、宗教は教育機関を持つことで、信者を育成し、布教をしていく必要性を感じているのではないだろうか。冒頭で触れた、幸福の科学による「幸福の科学学園」の開校は、ある意味、時代に合致している動きなのかもしれない。
さて、次の記事からは新新宗教の中でも、公称信者が1000万人を超える幸福の科学の教育機関「幸福の科学学園」学園理事長、そして、新宗教の中でも公称入会世帯数800万世帯とされる創価学会が母体の創価大学のOB・OGらに、宗教および、信仰と教育の関係について話を聞いた。
普段は思索をめぐらすことがないであろう、キリスト教や仏教系列の教育機関との相違について、また、現代における宗教と教育のつながりについて考える機会となれば幸いである。
(構成・文/水口真介)
【註1】
現在もその定義については議論が分かれるが、広義に解すなら、「宗教ではない」としながらも、実質的には国教の創設とされている。明治政府は西欧の近代化に対応するため、天皇を中心とした国民強化を目指したが、そのために天皇の不可侵性を神話的に基礎付け、天皇国家のイデオロギーとしての機能を果たした。
【註2】
単に新しい宗教ではなく、近代社会の特徴に影響され出現した宗教のこと。近代新宗教という言い方もされる。その定義の仕方は諸説あるが、本稿では幕末維新期以降に台頭してきた宗教のこととする。主な団体は創価学会、立正佼成会、真如苑、生長の家、天理教などである。また1970年代以降に台頭した宗教を新新宗教と呼ぶ研究者もいる。
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