“毒殺未遂事件”を培養して生み出した問題作! システムを観察せよ『タリウム少女の毒殺日記』
#映画 #パンドラ映画館
倉持 「事件当時、少女が書いたブログを読み、『サブカル趣味に憧れて、中2病をこじらせてしまった少女なのかな』という印象を受けたんです。ニュースではブログの文面から少女のことを“冷酷・非道”と報道していましたが、あの年齢くらいの時にはやたら難しい漢字や言い回しをカッコいいと思うことがあるので、一概には言い切れないのではないかと思いました」
実際の少女が母親にタリウムを投与したり、猫を殺害したことは残虐で許せないと言いつつ、映画の中のタリム少女には共感を覚えたと話す。
倉持 「映画の中のタリウム少女の『人間のフォーマットを飛び越えたい』という思いに共感できたんです。私自身も変身願望が昔から強く、何か人間じゃないものになりたいと思っていたし、今でも時々思います。私も映画の少女みたいにGPS付きのICチップを埋め込んでみたいです。どんな映画になるのか不安もあったけど、完成した作品をスクリーンで観て、違和感なく受け入れることができました。新しい手法がふんだんに盛り込まれた、『映画のフォーマットを飛び越えた映画』だと思いますね」
人間のフォーマットを飛び越えるために、まずは映画のフォーマットから飛び越えてみよう。飛び越えた先に待っているのは、透明ガエルたちが合唱し、遺伝子操作や整形手術によって永遠の美しさを手に入れた人間たちが科学を唯一の真実として信仰し、宗教戦争も社会的ヒエラルキーもなくなった新しい世界だ。タリウム少女と過ごす刺激的な冒険はまだ始まったばかりだ。
(文=長野辰次)
『タリウム少女の毒殺日記』
監督・脚本・編集/土屋豊 出演/倉持由香、渡辺真起子、古舘寛治、Takahashi 配給/アップリンク 7月6日より渋谷アップリンクほか全国順次公開中
<http://www.uplink.co.jp/thallium>
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