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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 「発禁になる前に読んでおけ!」底辺で生きるホームレスを14年追いかけたルポ漫画『ホームレス大博覧会』

「発禁になる前に読んでおけ!」底辺で生きるホームレスを14年追いかけたルポ漫画『ホームレス大博覧会』

●ホームレスには、なるべくしてなる!?

――ホームレスになる人には、いろいろなパターンがあると思いますが、実際どんな人がなっているんですか?

らむ ショッキングだったのは、財布を盗まれたからとか、ものすごく簡単な理由でホームレスになるんですよね。例えば仕事をしていてパソコンのデータが壊れたりすると、死にたくなったりするじゃないですか。でもグッとこらえて死なないのが普通の人ですよね。携帯電話をどこかに落としたときも、後処理がすごく面倒くさくて死にたいとか思ったりするけど、実際には死なない。ところが、ホームレスになる人の中には、そのタイミングで社会との境界線を踏み越えちゃうんですよ。「全部捨てて逃げちゃおう」みたいな。中には深刻に捉えて自殺の前段階としてホームレスになる人もいますね。車上生活とかしていたりすることが多いです。村上たかしさんの漫画『星守る犬』(双葉社)なんかもそうですよね。

――意図的に境界線を踏み越えない限りは、ホームレスにならないものなんですか?

らむ いろいろな人に話を聞いた中で、「ホームレスになっちゃうかも」と言ったのが売れっ子クリエイターの人たち。有名で作品も評価されているし、収入だってある……そんな人たちが絶対ホームレスにはならないはずですが、ホームレスになるかもと思ってしまう。そこに共通しているのが、フリーランスという立場だと思うんですよ。フリーランスの人はホームレスを同じステージだと思っているところがあるんです。僕もフリーランスだから同類として捉えているところがあって、だから彼らに対する見方がちょっと辛口なのかもしれない。

――ホームレスになったら「もはや終わり」と思う人が多いでしょうが、社会復帰はできるものなんですか?

らむ 衣食住が保障されて仕事があっても、すでに社会には戻れないところまで来てしまっている人は無理ですよ。そもそもアル中(アルコール中毒者)が多い。アル中、ギャンブル依存症、約束守れない……なるべくしてなった人だと、社会復帰するのは困難と言わざるを得ないですね。これは私の印象ですけど、運が悪くてホームレスになった人もいるでしょうが、大半の人はジタバタすれば意外と(ホームレスに)ならずに済んだんじゃないかと思うんですよ。

――ホームレスにならないためには、どうすればいいでしょうか?

らむ 役所に行って揉めに揉めるなどすれば、ホームレスにならずに済む道はあるんです。セーフティーネットなどの問題点はすでに指摘されていますけど、実際にホームレス側から取材していて思うのは、日本にはホームレスにならずに済む選択肢があるということですね。すごい借金があるから借金取りから逃げるためにホームレスにならざるを得ないんだという人がいて、漫画にもそのまま描いてきたんですけど、今になって振り返ると「そうか?」と思うんです。だって本当に借金取りが来たとしても、今はめちゃくちゃな取り立てはできないし、自己破産して生活保護を申請するという選択肢もある。「でも相手がヤクザやから、そうはいかんのや」みたいなことを言う人もいるけど、そもそも今どきのヤミ金が、そんな強引な取り立てをやってくるわけない。結局、言い訳にして逃げているだけで、基本的にホームレス生活を楽しんでいる人も多いと思うんですよね。

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