「発禁になる前に読んでおけ!」底辺で生きるホームレスを14年追いかけたルポ漫画『ホームレス大博覧会』
景気の回復が浸透しない日本で、ここ20年ほどで急増し、社会問題となっている「ホームレス」。社会の底辺に生きるアウトサイダーとして扱われる半面、世の中を達観した聖人と見る人もいる。
そんな社会病理ともいうべき問題を、足掛け14年間も取材し続けているのが、漫画家でルポライターの村田らむ氏だ。6月に発売された『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)は、正面からナチュラルにホームレスの実像をえぐり取った村田氏の集大成ともいうべきものである。終身雇用が崩壊した現代社会では、誰もがホームレスになる危険性を抱えている。ホームレスを見続けてきた村田氏に、その実情を聞いた。
――まず『ホームレス大博覧会』はどのような本なのか、概要を教えてください。
村田らむ(以下、らむ) もともとはミリオン出版の編集者に、私が過去に出版した『こじき大百科──にっぽん全国ホームレス大調査』(データハウス)や『ホームレス大図鑑』(竹書房)みたいなことを、もう一回やってみたいと依頼されたのがきっかけなんです。とりあえずプレで(試験的に)漫画でやってみようということになって、描いてみたら読者アンケートの順位がよかったので連載することになって、それをまとめたのが『ホームレス大博覧会』なんですよ。
――過去に出版トラブルが結構あったそうですが、発禁(発行禁止処分)になったんですか?
らむ 裁判所からの命令で、法律上本が出せなくなることを発禁と考えると、発禁はちょっとオーバーで、自主規制ですね。ホームレスの支援団体からクレームが来て、出版社としてはこれ以上売りませんと、それで自主回収したというのが実際のところです。漫画家のいしかわじゅんさんが週刊文春の書評で『ホームレス大博覧会』を紹介してくれたのですが、「発禁になる前に読んでおけ」とまとめているのも無理からぬことなんですよ。
――そもそも、なぜ14年前にホームレスを取材しようと思ったんですか?
らむ もともとホームレスに興味があったんですけど、本当の本当は仕事で「やれ!」って言われたから。データハウスの『いやらしい2号』という『あぶない1号』の後継誌を作っていたときに持ち上がっていた企画のひとつだったんです。ホームレス取材はお金もかからないし、2回くらい取材したら評判が良かったので続けたという感じですね。
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