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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.229

事件は有名ハンバーガー店で起きた! 従順さが招いた犯罪『コンプライアンス 服従の心理』

compliance01.jpgどこにでもあるファストフード店が一本の電話によって犯罪現場となった。実話を題材にした心理サスペンス『コンプライアンス 服従の心理』。

 事件は2004年4月、米国ケンタッキー州の小さな田舎町にあるマクドナルドで起きた。警察を名乗る男性から電話が掛かり、「店内で財布の盗難事件があった。18歳前後の女性従業員はいないか?」と問い合わせてきたのだ。店長は驚いた。ファストフードの店長は何よりもスタッフの管理と教育が求められる。店長は電話の声が告げる条件に該当するレジ担当の女性スタッフをバックヤードへ連れ出し、電話の指示に従って身体検査を行なった。女性スタッフは丸裸にされ、屈辱的な行為を強要された。3時間以上が経過し、ようやく電話がニセ警官による悪質なイタズラであることが判明した。マジメさが取り柄だった店長は、コンプライアンス(法令遵守)に従ったばかりに犯罪に加担してしまった。『コンプライアンス 服従の心理』は全米を騒がせた“ストリップ検査詐欺事件”を再現したドラマとなっている。

 「やりたくてやったんじゃない。上からの命令だったんだ」。アドルフ・アイヒマンは裁判でこう自己弁護した。アドルフ・アイヒマンは第二次世界大戦中にヒトラー率いるナチスの親衛隊を務め、ユダヤ人虐殺を指揮した。ナチス内で出世するため、ヒトラーに認めてもらうため、アイヒマンは効率よくユダヤ人を処分することに尽力した。アイヒマンはユダヤ人たちを収容所へ送る列車を手配し、死刑執行の書類にサインを走らせた。ナチスによって虐殺されたユダヤ人は500万人とも600万人とも言われている。戦後、アイヒマンは偽名を使ってアルゼンチンで逃亡生活を送っていたが、イスラエルの諜報機関モサドよって拘束され、裁判に引き出された。ユダヤ人を大虐殺した戦争犯罪者はどんな鬼畜かと世界中の人々が固唾を飲んだが、法廷に現われたアイヒマンはあまりにも凡庸な事務員風の中年男にしか過ぎなかった。

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