ネタ? 本気のSF? ジェットコースターアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』を再検証
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しかし、その一方で「毎回何が起こるかわからなくて面白い」「キャラのセリフや行動がいちいち斜め上をいってて目が離せない」など、ジェットコースター感覚を楽しむ声もあり、その楽しみ方を裏付けるようにアニメ雑誌では「スタッフそれぞれがロボットアニメの中で『見たい!』と思っているもの」をぶち込んだ、極めて快楽原則にのっとった作りになっていることが明かされています。
その結果が、第7話の櫻井アイナの突然の戦死だったり、第10話のハルトきゅんがサキをいきなり押し倒すレイプシーンだったりしたわけですね。スタッフはそういうシーンを見たかったのかもしれないけど、視聴者としてはいきなりすぎてビックリしましたよ~。しかし、この「いきなり」な展開こそ本作最大の魅力であるジェットコースター感覚の最たるもの。
確かにこれらのシーンはネット上でも賛否両論でしたが、実際のところ放送直後はDVD/Blu-rayのアマゾンランキングが急上昇したそうです。その購入者たちが本作のジェットコースター感覚を楽しめているかどうかは定かではありませんが、楽しみ方を理解するファンは確実に増えつつあるのです(購入者たちが単にエログロ好きだったという可能性も、なきにしもあらずですが)。
また物語も佳境に突入していく中で、どこか牧歌的な空気すら漂わせている主人公たちの住むコロニーや、そこを攻め落としたいのかどうかよくわからない動きをするドルシア軍の裏に何やら大きな秘密が隠されていることも明らかになってきました。なぜ敵軍は、本格的に主人公たち学生を殺しに来なかったのか。なぜ主人公たちの住む学校の下に、最新鋭のロボットが隠されていたのか。そして、なぜ主人公たちは、ヴァルヴレイヴのパイロットに選ばれたのか……。
ご都合主義と思われていたストーリーには、すべてちゃんとした理由が存在していたのです。その謎が徐々に明かされていく快感は、今まで途中下車することなくジェットコースターに乗っていた視聴者だけの特権といえるでしょう。
本作は分割2クール作品なので、とりあえず前半のストーリーは6月で終了しますが、続きは10月からスタート。今年いっぱいは『ヴヴヴ』の先の読めないジェットコースターなストーリーを楽しめそうですね。
(文=龍崎珠樹)
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