「探せば結構、希望はあるよ」『放課後グルーヴ』で青春が踊り出す
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そんな彼女を見守るしかなかった桐生は、「『見守る』なんて言葉は、何もしないやつの言い訳」という言葉に奮起し、福田たちと共に一計を案じる。学校に来るまで待っているとは言わないが、来たくなったら来てほしいと、彼女の思い出の公園に呼び出したのだ。彼女はそんな桐生の誠意に応えて公園にやって来る。しかし、「もう一度学校に来て」という言葉には応じない。
「一度やめたことってなかなか再開できないんですよ。始めることも、続けることも難しいけど、きっと再開することが一番難しい」
さらに本田は語る。
「ほかの誰かじゃなく、どうして私なんだろう? って、毎日毎日思ったよ。過去形なんかじゃない。毎日毎日、朝起きるたびに、なんでだろう? なんで私なの? って思わない日はない。私なんか悪いことした? 両足とられるようなことした? って」
希望なんて持つ気もないし、持ちたくもないという本田に、桐生は必死に語りかける。「希望持てるまで一緒に探すから。見つかるまで一緒に探すから!」と。
時間は巻き戻せない。けれど、感情を甦えらせることはできる。仲間たちは本田に“あの日の中1感”を思い出させるように、それぞれの想いのこもったメッセージを寄せた。
中1の頃、福田は本田と一緒にアナログフィッシュのアルバム『Fish My Life』を聴いた。その中に収録されている「Sayonara 90’s」の一節を2人とも気に入っていた。福田はそのフレーズを引用したメッセージを彼女に伝える。
「本田、おまえが人生サボってた時間なんて地球から見たら一瞬だし、『探せば結構、希望はあるよ』」
彼らが懸命にジタバタともがく姿は、まるでダンスを踊っているかのようだ。優れた音楽がある時代の記憶を呼び戻すように、『放課後グルーヴ』は僕らを青春時代に引き戻す。
仲間たちのメッセージに感極まった本田は何か言おうとするが、それを言葉にできず、泣き出してしまった。桐生は彼女を抱きしめて言う。
「言葉にならない言葉ってあるから……!」
『放課後グルーヴ』は、そんな言葉にならない感情をサンプリングしたようなドラマだ。重苦しい現実や答えの出そうのない悩みに「ツラい時こそユーモアで」と明るく笑いながら立ち向かう彼らは、キラキラして愛おしい。瑞々しく、そして切実に青春を踊っている。「日本語ロックの精神」で!
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)
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