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教室にはびこる見えない制度 教師も“活用”するスクールカーストがもたらす閉塞感

 スクールカーストは、映画の中に一度も姿を現すことなく映画全体に影響を及ぼしている桐島という存在に似ている。

 なんの前触れもなく、ある日突然学校を欠席し続けた人気者の桐島が登校したことに沸き立つカーストの上位たち。一方、下位の映画部員たちは、桐島に見向きもせずに映画を撮り続けた。物語のクライマックスで、映画部員たちが起こした「反乱」は、典型的な「弱者が強者にたてついたストーリー」ではない。その反乱によって、カースト=桐島を無効化させ、その実態のなさを暴いたことこそが、映画をより感動的なラストに導いている。

 本書のあとがきで、著者の鈴木は「もっと深く踏み込んだ検証が不可欠なことは間違いない」と書く。スクールカーストについての議論が深められれば、教室につきまとう閉塞感も解消されるかもしれない。誰もがくだらないと思いつつも、無視することができないこの仕組みが一刻も早くなくなるよう、鈴木らの研究が進むことを望んでやまない。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

最終更新:2013/06/18 18:00
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