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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ネット選挙解禁で阿鼻叫喚?
ITライター柳谷智宣の「賢いネットの歩き方」第19回

ネット選挙解禁で阿鼻叫喚の修羅場は必至! 県議会議員が病院で「刑務所に来たんじゃないぞ」

20130612.jpg大炎上した、岩手県議会議員のブログ。(現在は削除されている)

 6月5日、岩手県議会議員がブログにアップした記事が大炎上した。あまりの炎上ぶりに、テレビでも取り上げられたほどなので、ご存じの方も多いだろう。

 くだんの議員は、病院で番号で呼ばれたことに立腹し、「ここは刑務所か!」と受付嬢に食ってかかり、さらに会計をせずに帰宅したという。その上で、「このブログをご覧の皆さん私が間違っていますか」と問いかけた。匿名のTwitterでも炎上するレベルの投稿だが、今回は顔出し名前出しかつ要職にある人物によるものなので、大きな話題になった。

 同じエントリーには、「病院の会計が1万5,000円以上だから上得意の客だ」「精算書を持ってカウンターから出て患者のほうに来い」など、モンスターペイシェントといわれても仕方がない過激な発言が目立つ。そもそも、病院が番号で呼び出すのはプライバシー保護の観点からだ。その点を指摘されると、「個人情報の関係?。馬鹿言っちゃいかんよ。あんたのような個人情報の中身を知らない者が個人情報と振りかざすから、こんな窮屈な世の中になるんだ」と反論。これには、ネットイナゴも大集合。何度もこのコラムで紹介している通り、一度炎上すると過去のエントリーもほじくり返される。以前も病院の支払いをせずに帰宅したり、銀行で5分待たされると通帳やおつりを無視して帰る、といった投稿が見つかってしまう。議員は謝罪文は掲載したものの、騒動が収まるわけはない。ブログだけでなくホームページも削除した上、電話番号も変えてしまった。病院へのクレームで、「事務長は逃げ回っているのですか」と食ってかかった人物とは思えない。

 このニュースを見て、常識のない人もいるものだ、と終わらせるのは早計だ。議員は地元での評判がよく、堂々と実名で投稿している。投稿時点では、病院のひどい対応を世に知らしめる、といったつもりだったのだ。もちろん、今回は間違いだったのだが、これは誰にでもあること。ほかの炎上をバカにしつつ、間を置かず炎上を起こしたSNSユーザーは枚挙にいとまがない。自分では常識だと思っていることが、世間の反感を買うことはよくあるのだ。同じ価値観のクラスタで行動しているとわかりにくいが、誰でも閲覧できるネットではすぐに破綻してしまう。他人のふり見て我がふり直せで、攻撃的な投稿をする前はよく読み返し、少しでも不安があるなら取り消すくらい慎重になったほうがいいだろう。

 それにしても心配なのがネット選挙だ。7月に行われる可能性が高い参議院選挙では、選挙中にホームページやブログ、Twitter、Facebookなどで情報を発信したり、投票を呼びかけたりできるのだ。街頭演説の情報を告知したり、YouTubeやニコニコ動画でメッセージを発信することも可能。これからの時代には当然の流れといえが、今回の事件のように自分が正義だと思っていることをネットで発信する場合、勘違いだった時に炎上するという高いリスクがある。

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