公式自ら“作画崩壊”宣言『スパロウズホテル』1期は、本当にダメアニメだったのか
#アニメ #アニメ時評
確かにアニメも「商品」である以上、より多くの人に受け入れてもらえる内容に整えていくのは、正しい判断です。しかし、公式が制作側に「NG」を出した「SEASON1」は、本当に「ダメなアニメ」だったのでしょうか。ここから先は限りなく個人的な感想になるのですが、微妙に下手クソな作画と唐突で暴力的なまでにハイテンポなシナリオが共存していた「SEASON1」には、「絵のおかしさで笑わせる」「唐突な展開が生み出す不条理ギャグ」「異常にハイテンポな構成が生み出すドライブ感」といった要素が渾然一体となり、あたかもドラッグムービーのような中毒性を醸し出していたように思うのです。
もちろん「SEASON2」もちゃんと面白いアニメとして成立しています。誤解を恐れずにいうと、確実に「SEASON1」よりも完成度は高いです。しかし、どこか物足りなさを感じてしまうのも事実なのです。例えるならば、演奏は下手くそだけどすさまじくエッジな楽曲でメジャーデビューしたロックバンドが、その後、演奏スキルは向上したものの売れ線狙いのポップな路線になっちゃった。そんな一抹の寂しさすら感じてしまうのです。
ニコニコ動画のコメントには、「こっちの(SEASON2の)ほうがいい」「SEASON1は全体的にダメだけど癖になる」などなど賛否両論が渦巻き、ファンの間でも「SEASON1」派と「SEASON2」派といった派閥が生まれつつある模様です。1期と2期の制作体制の違いで賛否両論が起こった例として、『みなみけ』シリーズが挙げられますが、本作でもそれ以上の対立が起こるのでしょうか?
ともあれ、テレビ放送期間である6月末まで、DVD未収録のテレビ放送版の「SEASON1」が全話無料で配信されているので、興味を持った方は現在放送中の「SEASON2」と見比べてみてはいかがでしょうか。派閥闘争に身を投じるかどうかは別として、あなたも週に一回は『スパロウズホテル』を見ないと落ち着かない、中毒患者になるかもしれませんよ。
(文=龍崎珠樹)
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