日本経済の見通しは明るくない!? 参院選を前に、問われるアベノミクスの真価
#出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
早くも黒田総裁は日銀に取り込まれたのかというと、そうではないようである。
「噴き出すアベノミクスの副作用を抑えるには日銀の協力が欠かせない。微妙に軸足を移しているように見える」(AERA)というのだ。
安倍首相の周りにはリフレ派・新自由主義グループ。財政出動を求める国土強靱化グループ。悲願の消費税を導入したい財務省の3本の脚がある。
アベノミクスのこれからは、消費税増税をめぐる仲間割れが起きるかもしれない。黒田発言の微妙な変化は「その予兆でもある」(AERA)と結んでいるが、今日(6月3日)も続く株の下落は、不吉な予感がするではないか。
ポストは、消費者が気づかない隠れ値上げ商品がたくさんあると報じている。
隠さないでも、輸入原材料の高騰による値上げの多さには、ただただ驚くばかりである。
「まず『食』では、小麦粉や植物油などの輸入価格高騰の影響が大きい。7月1日には山崎製パンが食パン『芳醇』や『高級つぶあんぱん』など15品目を2~6%値上げし、日清製粉も『マ・マーパスタソース』のうち10品目を9~11%値上げ、味の素は8月1日出荷分から家庭用マヨネーズを6%上げる。
水産加工品も上がる。世界的な鰹の不漁と漁船用燃料重油の値上がりなどで、水揚げしてすぐに瞬間冷凍される加工用冷凍鰹の価格は1年前の2倍に急騰。そのため、はごろもフーズは5月からツナ缶『シーチキンL』を330円から340円に引き上げ、鰹節大手のマルトモは、6月から『削りぶし』『花かつお』などの商品を10~20%値上げする。(中略)マクドナルドはこの5月7日から『100円マック』を120円、チーズバーガーを120円から150円へと2割以上引き上げた。回転すしチェーンのかっぱ寿司はこの夏をメドに1皿94円から105円に価格を改定している」
その上、価格を据え置きに見せて内容量を減らす「隠れ値上げ」が進行しているというのである。
「日本ハムは7月からハム、ソーセージなど89品目で容量を減らし、主力のあらびきウィンナー『シャウエッセン』は1袋138グラムから127グラムになる」
こうしたこと以外に、海外ブランドが軒並み値上げしている。ルイ・ヴィトンが2月に過去最大の平均12%値上げし、カルティエやティファニーなども値上げに踏み切っている。大塚家具はこの4~5月に輸入家具を平均4.8%値上げしたばかりだが、さらに6~7月には輸入品4,400品目を平均5.9%アップするそうだ。
さらに、建設資材が値上がりしている。鋼材価格は前年比2割アップ、外壁用コンクリート、断熱材など軒並み大幅値上がり中だから、今後のマンションや住宅の建設費が大きく上がるのは間違いない。
ポストは、景気停滞下で物価だけが上がっていく状況を経済学ではスタグフレーションと呼ぶが、こうした最悪の事態が起こるかもしれないと警鐘を鳴らしている。
アベノミクスの真価が問われる6月が始まった。有権者は官僚の言いなりになるマスメディアに踊らされることなく、しっかり目を見開いて真贋を見極め、参議院選に備えなくてはいけない。
(文=元木昌彦)
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