“説明しない”櫻井翔の半笑いが狂気に変わる『家族ゲーム』
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「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。
『家族ゲーム』を櫻井翔でリメイク? 松田優作主演の映画版、長渕剛のTBS連続ドラマ版、さらに鹿賀丈史のテレビ朝日2時間ドラマ版など、過去の映像化を知る者の多くは一様に訝しんだ。いずれも暴力性の強い主人公。櫻井とはまったくイメージが違う。また、過去の名作のイメージが破壊されてしまうのではないか。それは拒否反応に近いものだった。
しかし、そんな懸念は第1話で見事に覆された。
ドラマは櫻井、板尾創路、鈴木保奈美の3人の見つめ合いから始まった。現在のテレビドラマの常識ではタブーとされる無言のシーンが、冒頭から約2分間にわたって、なんの説明もないまま続いたのだ。しかし、3人の視線の交差が、その場の異常性だけは雄弁に語っていた。耐え切れず最初に口を開いたのは板尾。主人公の櫻井が話し始めるのは、さらにそれから1分が経過した頃だった。居心地の悪い不安感と漂う狂気性をこの冒頭約3分だけで表現し、一気に視聴者を引き込んだのだ。
物語は、一部上場の会社に務める父・一茂(板尾)に美人で気が利く母・佳代子(鈴木)、文武両道で優等生の長男・慎一(神木隆之介)という、「誰もが羨む理想の家族」の沼田家。その唯一の問題児である次男・茂之(浦上晟周)の家庭教師として「東大合格率100%」という触れ込みの家庭教師・吉本荒野(櫻井)がやってくるところから始まる。
表向きは「理想の家族」のように見えた家族は、実は欠陥だらけ。歪んだ虚栄心を持ち浮気をしている夫、世間体ばかりを気にして人間不信に陥っている妻、万引きの常習で分厚い仮面を被った兄、そしてイジメを苦に引きこもった弟。彼らはそれぞれが家族を大切にしているかのように装いながら、その実、考えているのは自分のことだけだ。それを吉本がひとつひとつ暴いていき、問題を白日の下に晒していくのだ。「いいねぇ」とつぶやきながら。「俺がお前たち家族を崩壊させるか、それともお前たちが持ちこたえるか。これはゲームだよ。か・ぞ・く・ゲーム」だと。
櫻井といえば、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)のキャスターを務めたり、バラエティ番組では司会をこなし、慶應義塾大学卒業ということもあり、秀才でなんでもできるというイメージがある。けれど、そんな大役をいくつも経験しながらも、常にどこかぎこちなさが漂っている。それはそのまま彼の魅力でもあるのだが、一体どこからくるものなのだろうか?
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