もう手遅れか? 児ポ法改“悪”阻止のためにできることとは?<学習編>
#出版 #児童ポルノ #青少年育成条例 #非実在青少年
「有害」をめぐる半世紀の攻防』
(平凡社新書)
東京都青少年健全育成条例改正問題から数年。「表現の自由」の問題に興味を持つ人は増えたが、何から知識を得ればよいのか困難なのも事実。ネットで得られる知識は限られたものでしかない。では、どうやって知識を得ていけばよいのだろうか……?
長らく「表現の自由」の問題を取材していると、よく聞かれるのが「(○○という規制の動きを阻止するために)どうすればいいのか」と「どうやって学べばよいのですか?」の2つである。前者の質問をしてくる人は、たいていどんな答えにも納得してくれない。
例えば「選挙だ」と言えば、「それで○○(規制を推進している団体や個人)を潰すことができるのか?」と言われることが多いのだ。
そのため筆者はここ数年、どうすればいいのかと聞いてくる人には漏れなく「決起だ」と答えるようにしている。いまだに決起した人がいないのは、幸いなのか、残念なのか……。
児童ポルノ法をはじめ「表現の自由」を守りたいなら、まずは知識を得ることが欠かせない。そこで今回は「どうやって学べばよいのですか?」という人々に向けて、読んでおくべき本を紹介してみる(自著以外)。
まず読んでおきたい本の筆頭が、長岡義幸『マンガはなぜ規制されるのか―「有害」をめぐる半世紀の攻防』(平凡社新書)だ。これまで戦後の「表現の自由」と規制をめぐる歴史を記した書籍は多数あったが、どうしても専門的な部分が多く、初学者は腰が引けるものが多かった。本書は、「有害」コミック騒動からリアルタイムで取材している長岡ならではの、豊富な知識を生かした平易な文体で記されているので、わかりやすい。おまけに安い! 青少年健全育成条例問題が盛り上がっていた際にコミケで販売したところ、瞬殺だった名著である。
長岡の本でも扱われている戦後の出版物規制の流れを知るには、橋本健午『発禁・わいせつ・知る権利と規制の変遷―出版年表』(出版メディアパル)が最適だ。タイトル通り、規制の歴史を明治時代から現代まで年表形式で記しており、国家権力が規制したいものや社会のコンセンサスがどのように変化していったかが一目でわかる。なお、絶版になってしまったが、橋本の『有害図書と青少年問題』(明石書店)も、規制の変遷と全体像がわかる数少ない書籍である。
これに加えて、今話題になっている児童ポルノ法がどういうものかを知るには、絶版になってしまったが、園田寿『解説 児童買春・児童ポルノ処罰法』(日本評論社)が最適だ。また、規制を強化する立場から書かれた森山真弓・野田聖子『よくわかる改正児童買春・児童ポルノ禁止法』(ぎょうせい)も一読しておくことをお勧めする。
これまでの規制をめぐる事件については、「有害」コミック騒動が学べる、コミック表現の自由を守る会編『誌外戦―コミック規制をめぐるバトルロイヤル』(創出版)と、青少年健全育成条例問題を記したサイゾー&表現の自由を考える会編『非実在青少年〈規制反対〉読本』(サイゾー)が入手しやすく、読みやすい。
だいたい、このあたりを読んでおけば、何が問題になっても、論点はどこなのかを慌てず騒がずに理解できるハズだ。
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