深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.223
今、情熱大陸より熱いのは映画大国インドだ! 青春“ナマステ”コメディ『きっと、うまくいく』
2013/05/17 18:00
#映画 #パンドラ映画館
学歴偏重社会に疑問を投げ掛けたインド映画『きっと、うまくいく』。
インドだけでなく、受験競争の厳しい中国、台湾、韓国などアジア各国でヒットした。
インドだけでなく、受験競争の厳しい中国、台湾、韓国などアジア各国でヒットした。
人口12億人を抱え、ヒンドゥー教、イスラム教、仏教と様々な宗教に、ヒンディー語、タミル語、テルグ語、カンナダ語……と30以上の言語が飛び交うインドは、まさにスパイシーカレーのような複雑な味わいを持つ国だ。近年はIT産業を中心にした経済成長が目覚ましく、ムンバイをはじめとする大都市は超イケイケモード。年間1200本以上の製作本数を誇る世界一の映画大国としても知られ、2012年の製作本数は実に1600本にまで膨れ上がっている。そんな世界でもっともホットな国インドの現状をリアルに伝えてくれるのが、インド映画歴代興収1位の大ヒットとなった『きっと、うまくいく』。歌って踊って恋をして、という従来のインド映画ならではのエンターテイメント性はそのままに、経済成長が進んだことでインド社会に大きな歪みが生じていることに言及した社会派コメディとなっている。
インド映画というと、日本で1998年に公開された『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)やSFX大作『ロボット』(10)の主演俳優ラジニカーントの濃い~オッサン顔が思い浮かぶが、実はラジニさんはタミル語圏のスターであって、“ボリウッド”と呼ばれるインド映画のメインストリームとはちと異なる存在。例えていうなら、吉幾三の歌謡ショーをたまたま観た外国人が「ジャパニーズエンターテイメント、最高デ~ス!」と大はしゃぎしているようなものだったらしい。「俺ら東京さ行ぐだ」もいいけど、インド映画の主流、ボリウッドの勢いを感じさせてくれるのが、公用語であるヒンディー語で製作された『きっと、うまくいく』なんですよ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
3:20更新
イチオシ記事
山岳民族に残る「嫁さらい」の実情を追う 『霧の中の子どもたち』と日本の非婚化