「オタクは二次元にしか興味ないのか?」充実した講演の一方で不安も残った児童保護の現状院内集会
#児童ポルノ #青少年育成条例 #非実在青少年
「シェルターでは1日3度の食事も出ます。けれど、子どもたちはこれにも驚くんです。中には、大人が料理をすることに驚いた子どももいます」
と、角南氏は語る。ここからも保護すべき子どもたちがどのような状況に置かれていたかが、おのずと理解できるだろう。
「そうした子どもたちは、大人と一緒にトランプをしたりして遊んだこともありません。身体がガチガチで、常にストレスいっぱいになっているんです」
こうして保護された子どもたちも、やがては社会に復帰しなければならない。そのための手助けをするのが、自立援助ホームだ。そこでは、朝起きて夜寝るような「普通」の生活習慣を身に付けさせることから始まって、就労し自立していけるまでの手助けも行われているのだ。
この講演を通じて感じたのは、口先だけの子どもの「人権」とか「保護」ではないリアルな現場の話であった。いわゆる「規制派」と呼ばれる人々は、法律があればたちどころに不幸な子どもは減っていくと主張することもある。だが、問題を解決するのは地道な現場の取り組みであることを、角南氏は語ってくれた。
会期中のため、国会議員は秘書の代理参加であったものの、「議員会館で開催したこと」の効果は大きい。これから「オタクの側も児童の保護を真剣に考えている」ことを広くアピールしていくための材料になっただろう。
ただ、参加者数は20名あまりと、かなり少なかった。平日金曜日の午後という時間帯のせいもあるだろうが、ネットでも言及は少ない。漫画やアニメの規制など、実際に自分の利益が侵害されそうだと「児ポ法改“悪”反対!」の旗を掲げるが、結局は“実際の児童虐待になんか興味ないよ”というのが「規制反対派」とカテゴライズされる人々の本音なのかと疑ってしまう。「表現の自由」を守ることは、自分の好きな漫画がどうのこうのという小さな問題ではないことを理解している人は、まだ少ないのだろうか。
講演を行った角南氏は児ポ法などの問題には知識がないとはいうものの「これから、調べたい」と拙速な規制強化が大人の都合にすぎないことを、経験から語ってくれた。オタクの側も、今から興味を持つことを期待している。
(取材・文=昼間たかし)
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