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日本だけど日本じゃない!?『モンタヌスが描いた驚異の王国 おかしなジパング図版帖』

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「われわれはある時は立ち上がってあちこち歩き回らなければならなかったし、ある時は互いに挨拶し、それから踊ったり、跳ねたり、酔っ払いの真似をしたり、つかえつかえ日本語を話したり、絵を描き、オランダ語やドイツ語を読んだり、歌をうたったり、外套を着たり脱いだり等々で、私はその時ドイツの恋の歌をうたった」

とあったり、文化の違いとして、

「われらにおいては、人びとはまったく人目につかぬように、家で身体を洗う。日本では男も女も、仏僧も、公衆浴場で、もしくは夜分、(自宅の)戸口で入浴する」

「われらは、親指または人さし指で鼻孔をきれいにする。彼らは鼻孔が小さいので、小指でそれをおこなう」

など、日本がどういう国だったのか、ヨーロッパ人の彼らの目を通して、細やかに伝わってくる。

 もしも、今のような情報にあふれる世の中ではなかったら、学術書や旅行記を読んで、どれだけ未知への国に憧れ、空想にふけることができただろうか。インターネットでなんでも調べられてしまう今の時代、もはや地球でまったく未知の国や場所は、ほとんど見つからないのかもしれない。そう思うと、この時代の人々がちょっとうらやましくもある。
 
本書を読んで、この時代のヨーロッパの人々が描いていた、とんでもない驚異の王国ジパングへ、ぜひ旅立ってもらいたい。
(文=上浦未来)
 
●みやた・たまき
1964年生まれ。作家・エッセイスト。著書に『はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある』『スットコランド日記』『スットコランド日記 深煎り』『だいたい四国八十八ヶ所』(本の雑誌社)、『ふしぎ盆栽ホンノンボ』(講談社文庫)、『四次元温泉日記』(筑摩書房)、『日本全国津々うりゃうりゃ』(廣済堂出版)、『東南アジア四次元日記』『わたしの旅に何をする。』『ときどき意味もなくずんずん歩く』『晴れた日は巨大仏を見に』『なみのひとなみのいとなみ』(幻冬舎文庫)など。

最終更新:2013/05/27 11:31
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