中年男性たちが大号泣! 韓国の恋愛映画記録を塗り替えた、初恋を思い出すラブストーリー
#映画 #インタビュー
――スンミンの初恋が最終的に実らなかったことは、個人的にはショックでした。これは最初から決めていたことなんですか?
イ監督 映画の構想を始めた10年前からずっと、ハッピーエンドにするつもりはなかったんです。いろんな映画製作会社を回りましたが、断られるときの決まり文句が、「ハッピーエンドじゃないと誰も見ないよ」でした。さんざん断られて最後にたどり着いたのが、実際にこの映画を製作することになったミョンフィルム。代表が、「ラストはこのままでいこう」と言ってくれました。本当はそこでもダメだと言われたら、もう「ハッピーエンドに変えます」と言おうかなと思っていたところだったんです。彼いわく、「ハッピーエンドにしてしまうということは、スンミンの婚約者が加わって泥沼になりかねないから」と(笑)。だからこのままで終わらせよう、ということになったんです。
――「初恋は実らない」という言葉が日本にはあります。韓国でも、そのような考えはありますか?
イ監督 スンミンの親友のナプトゥクが映画の中で言ったセリフで、実際はカットしてしまったんですが、広告で使ったセリフがあるんです。「初恋は、叶わないから初恋である。叶ってしまえば、最後の恋になる」と。初恋は叶ってしまうとつまらないものだと、僕も思います。
――素敵なセリフなのに、どうしてカットを?
イ監督 DVDでご覧いただければそのカットしたシーンを見ることができるんですが、ナプトゥク(演じたチョ・ジョンソクは、この映画を機に大ブレイク。映画の中での口ぐせ「どうする、お前」は2012年の流行語大賞にノミネートされた)が、かなり個性的なキャラクターで(笑)。セリフも多かったし、これ以上しゃべりすぎると、彼の映画になってしまうと思ったんですよ。
――日本でも、先に試写で見た多くの男性が、この映画を絶賛しているそうです。
イ監督 韓国では大概の男性が、今の奥さんに「君が初恋の人だよ」と嘘をついて結婚生活を送っていると思いますよ。奥さんに対しても周囲に対しても、妻が初恋の女性だと言っておくのが暗黙の了解なんです。でもこの映画を見た多くの男性が、奥さんではない初恋の人を思い出して泣いたらしくて(笑)。「最初に夫婦で見たときは涙を必死で我慢して悟られないようにしたけど、後日ひとりで見に行って号泣した」「9回見に行った」なんていう声も聴きました。日本の男性のみなさんからの感想も、とても楽しみにしています。
(取材・文=大曲智子/撮影=尾藤能暢)
●イ・ヨンジュ
延世大学の建築学科を卒業後、建築士として10年間勤務した後、映画界に転向。ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』(2003年)で演出を務めるなどして映画を学んだ後、本作の脚本を書き上げた。その後2009年に映画『不信地獄』で監督デビューを果たす。『JSA』で知られるミョンフィルムとの出会いをきっかけに、『建築学概論』を映画化した。
『建築学概論』
5月18日より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本/イ・ヨンジュ
出演/オム・テウン ハン・ガイン イ・ジェフン スジ(Miss A)
公式サイト <http://www.kenchikumovie.com/>
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