中年男性たちが大号泣! 韓国の恋愛映画記録を塗り替えた、初恋を思い出すラブストーリー
#映画 #インタビュー
イ監督 はい。でも設計事務所に勤めている間は、まさか映画監督になるとは思っていませんでしたけどね。最後の1年、建築家になって10年目のとき、文化センターへ映像について習いに行っていたんです。6カ月のコースだったんですが、その最後にみんなで短編映画を撮ることになりました。生徒の中から私が書いたシナリオが選ばれて、書いた本人だからということで演出を任されることになりました。どうせ撮るならしっかり撮ってみようと、一時休職願いを出したんです。2~3カ月ぐらいで集中的に撮っていい思い出にするつもりが、本格的に映画監督を目指すことになり、結局そのまま辞めてしまいました。
――若い頃、映画監督になりたいという思いはなかったんですか?
イ監督 若い頃は、映画業界には変な人しかいないという、先入観があったんです。怖くて変わり者が多くて、夜になると酒ばかり飲んでいるというイメージがあったので、そんな業界で働くなんて考えもしませんでした。実際に映画監督になってみたら、その先入観通りでしたけど(笑)。
――映画は、もともと好きだったんですか?
イ監督 実は、映画監督として、それが一番のコンプレックスでした。映画が好きか嫌いかと言われたら好きなほうだけど、見た本数も人並みでした。映画監督をやっている方たちは工業系大学の出身者が多くて、みなさん機械関係にもすごく詳しいんですが、私はそうじゃない。今はコンプレックスとは思っていないですけどね。
――建築士として働くことに意味を見だせなくなってしまったのに、それでも建築士を主人公にしたのはなぜですか?
イ監督 やはり建築をやっていたからこそ、無意識のうちに建築に関する映画を撮ってみたいなという思いがあったのかもしれません。それに、家を建てることがテーマの映画というのは、これまで韓国にはなかったんです。建築士なら、一切リサーチをすることなく書けますし。建築士時代はあまりにも忙しく、今でもときどき悪夢のように思い出します。徹夜明けで家に帰れなかった主人公が机の上で寝ているシーンが出てきますが、あれは私の実体験なんですよ。だけど、建築自体が嫌いになったわけではありません。
――もうひとつのテーマ、初恋についても聞かせてください。主人公スンミンの初恋エピソードに共感する男性は多いと思いますが、こちらもイ監督の実体験が元になっているのですか?
イ監督 私の体験そのままが投影されているわけではありませんが、人としてのタイプは私に似ているかもしれません。親しくなってもなかなかタメ口がきけないところや、好きな女性がいても告白ができなかったり、付き合い始めても彼女にもどかしさを感じさせてしまう。女性にイライラさせてしまうようなところは、私と同じだと思います。
――男友達同士で好きな彼女の話題が出たときに「俺は興味ない」なんて言ってしまうことなんて、きっと誰にでも思い当たるでしょうね。
イ監督 そうなんです、それも私の実体験ですから(笑)。
(※ここからはネタバレになるため、作品をご覧になってからお読みください)
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