国家レベルでマンガ・アニメも監視する検閲社会がやってくる! 児童ポルノ法の先にある「有害情報」規制
#児童ポルノ #青少年育成条例 #非実在青少年
いよいよ国会での審議が始まりそうな児童ポルノ法改正案。その中でも「表現の自由」を侵害するのではと危惧される与党案を熱心に推進しているのが、自民党の政調会長・高市早苗衆議院議員だ。みんなの党の政調会議に出席し法案について説明するなど、異例の熱心さを見せている。
だが、彼女の真の目的は「児童ポルノ」だけではない、有害情報そのものの規制ではないかと考えられている。
現状、青少年に「有害」とされる本や雑誌、ゲーム、映画などは長野県以外の都道府県が定めている青少年健全育成条例によって販売規制などが行われている。これを、条例ではなく国の法律として定め、国の機関が有害指定を行って規制しようというのが、高市議員の、従来からのスタンスだ。
リアルに『図書館戦争』のメディア良化隊を彷彿とさせる思想だが、彼女の本気度は高い。
2007年には、第一次安倍内閣の内閣府特命担当大臣として「有害情報から子どもを守るための検討会」を開催し、同様に「有害情報」の国家レベルでの規制を実現すべく有識者へのヒアリングを行っている。だが、こちらも国に新たな機関を設置するというアイデアに「予算規模が縮小されている中で現実的でない」と各省庁から絵に描いた餅だと批判がなされた末、第一次安倍内閣の退陣によって、予定を消化せず終了している。
08年には、今度は、青少年のインターネットを通じた有害情報へのアクセスを防ぐ法案を議論していた自民党内の青少年特別委員会において「内閣府に設ける青少年健全育成推進委員会に有害情報を判断する権限を与え、削除命令の権限を付与。違反者には懲役刑や罰金」という法案を提案。さすがに乱暴すぎるとして自民党内でも異論が相次ぎ、日の目を見ることはなかった。
これらの行動から考えられる高市議員が目指すものは、かつて自民党が実現を目指した「青少年有害環境対策基本法案」の復活にあると考えてよい。この法案は99年ごろに「個人情報保護法」「人権擁護法案」と共に「メディア規制三法」として激しい批判に晒された法案のひとつだ。「青少年有害環境対策基本法案」は当初、異業者や団体ごとに「青少年有害社会環境対策センター」を設置し、主務大臣または都道府県知事がセンターを通じて商品・役務の供給に対して監督・指導することができるとしていた。いわば、マンガ・アニメ・ゲームなど、それぞれの業界に国家の監視機関を置いて「指導」という名の規制を行うことができるようにしようとしたわけである(なお、指導・監督なので行政処分にはあたらないとされていた。これも都道府県の「有害図書」規制条例を国レベルで強化することを企図したものといえる)。
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