ブラック企業と呼ばれても仕方がない!? 相次ぐ“ユニクロバッシング”に柳井氏は……
#出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
今週の注目記事
第1位
「安倍晋三と朝日新聞の『不適切な蜜月』」(「週刊ポスト」5月17日号)
第2位
「最新版 全国長者番付を掲載する」(「週刊現代」5月11・18日号)
第3位
「AKB河西智美 社長宅に『禁断のお泊まり』撮った!」(「週刊文春」5月2・9日号)
第4位
「ユニクロは『ブラック企業』か『グローバルカンパニー』か」(「週刊ポスト」5月17日号)
「大論争『ユニクロはブラック企業なのか』私はこう考える」(「週刊現代」5月11・18日号)
ユニクロは入社して3年以内に辞めていく社員が半数にも上るため、ブラック企業ではないかという批判が噴出している。柳井正社長は朝日新聞などで否定しているが、その中で「社員の賃金を世界で統一する」と発言して、また波紋を呼んでいる。
今週はポストと現代がユニクロ問題を取り上げており、いささか温度差があるようだが、これが第4位。
ポストは世界統一賃金の仕組みとはどんなものか整理してくれている。
「現在、ユニクロの『グローバル総合職』社員は世界に約5000人いる。(中略)執行役員や上級幹部ら合わせて51人の上位7段階はすでに世界で『完全同一賃金』になっている。完全同一賃金とは、例えば、日本円で年収5000万円のグレードに属する海外採用社員は、通貨や物価が違っても、その額に相当する年収を受け取ることができるというものだ。それをさらに下位のグレードにも広げていこうというのが、今回のユニクロの構想である」
信州大学経済学部真壁昭夫教授はユニクロ戦略を、こう分析して評価している。
「単純労働に従事する若い労働力ならば集めるのはそう難しくない。しかし、 1つの店舗をマネジメントする能力を持った優秀な人材は希少で、高賃金などのインセンティブがないと集めることができない。
ユニクロの試みが成功すれば、現地国の有能な人材の発掘や、すでにいる人材の底上げ効果にもつながる。組織内の競争も激化し、生産性が上がって、企業収益にも貢献するはずです」
ポストは一定の評価をしながらも、こう結んでいる。
「終身雇用システムによって高度経済成長を成し遂げ、『総中流化』を果たした日本の姿は、世界に『奇跡』と認められた。人の何倍も稼がなくても、働くことに喜びを感じ、多くの日本人が自分を『幸福だ』と感じていたはずだ。
柳井氏も『日本人のDNAが武器になる』と感じているのなら、日本企業だからこそ生み出すことができる、新しい雇用の形もあるのではないか」
現代は多くの識者に語らせているが、その多くは批判的である。その一つ、京都大学名誉教授・竹内洋氏の批判を紹介しよう。
「残念ながら、柳井さんの経営理念には、歴史に対する不勉強、文化や社会に対する無理解を感じざるを得ません。職位が下の社員に成果求め、それがかなわないなら低賃金に甘んじろというやり方は、労働者を苦しめた初期の資本主義時代の考え方ですよ。(中略) 企業が儲かるのは大切なことです。しかし、そのために『Grow or Die』が必要ですか? 多くの精神疾患者を出し、まるで産業廃棄物を捨てるようにヒトを吐き出していくやり方が、グローバル企業だから仕方がないと、許されることでしょうか。企業は公器。品格のある成長を、ユニクロには求めたいと思います」
現代はこう切り捨てている。
「自分だけが生き残れば、あとは死んでも構わない。それがユニクロの経営哲学なのであれば、ブラック企業と呼ばれても仕方がないだろう」
先にも書いたが、大学を出たばかりの新入社員が試験に合格すれば店長に昇格する“制度”には無理がある。世界統一賃金もいいだろうが「人を育てる」という意識がない企業には、優秀な人材は育たない。5年、10年後のユニクロに不安を覚える。
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