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日刊サイゾー トップ > 社会  > 【児ポ法改正議論】最新事情

もはや単純所持禁止は避けられない──新たな児ポ法改正議論の最新事情

 「児童ポルノ」の定義も、やはり明解ではない。そもそも「児童」が18歳未満なので、一般に「児童ポルノ」としてイメージされるもの=幼女がレイプされているようなもの以外もカテゴライズされてしまう。おまけに、04年の改正によって「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの」という定義が新設されたことで、さらに事態がややこしくなった。これは、いわゆる「着エロ」を取り締まることに念頭が置かれたもの。「着エロ」は、まっとうな商売とはいえないものであり、取り締まられてしかるべきだが、結果として「子どもの水着写真もアウトなのか」など、議論を錯綜させる要因となってしまっている。つまり、08年の民主党案にあった「児童ポルノ」の名称を「児童性行為等姿態描写物」に変更するとまではいかなくても、いま一度、現状に即して「児童」と「児童ポルノ」とは何かをハッキリさせる必要がある。

 そして、「単純所持」の禁止に伴う例外規定も欠かせない。学術的研究や取材・調査など必要に応じて「児童ポルノ」を所持・取得、さらには公開することはあり得る。昨年、スウェーデン大使館が主催したシンポジウムでは、同国の警察当局者が多数の「児童ポルノ」を大スクリーンに映して規制の現状についてのプレゼンを行った。単に「所持はダメです」だけでは「児童ポルノ」をめぐる問題にアクセスすることまでもが不可能になってしまう。現状「この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」とはなっているが、これでは不足だ。「単純所持」の禁止は、正当な理由がある場合に「児童ポルノ」にアクセスする権利も保障してこそのものである。国立国会図書館では図書館の「知る権利」の保障を放棄してまで特定の「児童ポルノ」とされる書籍の閲覧を内規で制限しているが、結果として「どういったものを制限しているのか」を国民が知ることはできなくなっている。

 こうした法律そのものの議論と同時に、規制の強化に賛成、反対する双方の側で偏狭で過激な意見を吐く人々を排除した上で、何が問題になっているのか見ていく必要がある。

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