ビッグエコーの第一興商、恐怖のパワハラ&リストラの実態「ぶっこんで潰すぞテメェ!」
#パワハラ
サイゾーのニュースサイト「Business Journal」の中から、ユーザーの反響の大きかった記事をピックアップしてお届けします。
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ビッグエコーの第一興商、パワハラ&リストラの実態「ぶっこんで潰すぞテメェ!」 – Business Journal(4月18日)
ニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判の渦中にある人々の声を世間に届ける!
カラオケ機器大手「第一興商」で労働事件が勃発している。原告は山成遊氏(実名、38歳)。山成氏の訴えは次の通りだ。
山成氏は99年の入社後、事務畑を歩んできたが、05年9月、突然、配転命令を受けた。異動先は、特販営業部(以下、特販部)だった。ここは、もともとは大手カラオケボックス数十社に対するルート営業をする部署だったが、新規開拓部門として再編され、それまでの1課のみ約7人の組織から、5課43人の大所帯になった部署だった。
「特販部は、営業未経験者が3割ほどで、上は50歳過ぎから、下は20歳前後まで、色々な年齢層の人が配属されていました。社内では『リストラ部署』と呼ばれており、実際、当時の緑川智博・常務取締役は、社内で公然と『新生特販部は、うば捨て山だ』と言っていたほどです」(山成氏)
山成氏は、その異動で特販部2課に配属された。その時に、A課長から各部員に課されたノルマは、年間4000万円以上の売り上げ。カラオケ機器、モニター、スピーカーの1セットは約100万円なので、ノルマ達成には1カ月3〜4セットのペースで売らなければならない。
当時、カラオケ市場はすでに飽和状態で、新規開拓でこのノルマを達成することは困難だったが、A課長は、毎週の営業会議で、「なぜ売れないんだ! いつまでに売るんだ!」と怒鳴りつけ、会議以外の場でも、毎日、「いつまでにノルマを達成するんだ!?」「俺の営業方法が気に入らなければ辞めるしかねぇぞ!!」「会社員は、辞めるか上司に従うかどっちかなんだぞ!」「おまえ、頭や考え方がおかしいんじゃないのか!」などと罵り続けたという。
山成氏によれば、特販部に配属された社員たちは、過剰なノルマ地獄から逃れるために、社内の人脈を辿って他部署に引き揚げてもらう動きを水面下で行っていたほどだという。当時社内では、こうした活動をすることを、北朝鮮の金日成の首を取る秘密特殊部隊を題材にした韓国映画『シルミド』になぞらえたり、他部署への異動がかなった従業員に対して「『脱北』できてよかったね」と言い合ったりしていたという。特販部は半年後には、半数の20人に減少した。
こうした中で山成氏が受けた、恐るべきパワハラの一例を紹介しよう。
ある日A課長は、特販部の部屋に入ってくるなり、突然、机や椅子を蹴り飛ばしながら、外回りに出掛けようとしていた山成氏を呼び止め、ほかの大勢の従業員がいる前で、「俺の言うことを聞けと言ってんだよ! 分かってるのか! ぶっこんで潰すぞテメェ!! なめんじゃねえぞ!! 返事しろ!! オイ!!」と大声を張り上げ恫喝してきたのだという。
山成氏は、何が何だか訳が分からず、A課長の鬼のような形相に恐れながらも、「お客さんのところへ行かないといけないのですが……」と言うと、「行くなと言っているだろうが!!」と怒鳴ってきた。この一件で山成氏はますます精神的に圧迫され、ストレスの蓄積はピークを迎えつつあったという。
07年4月1日、山成氏は突然、「営業統括本部DSサービス部」(以下、DS部)に異動となった。がしかし、やっと脱北できた、との喜びも、ほんのつかの間でしかなかった。
DS部について、山成氏はこう説明する。「この部署は、名目上は企画部門でしたが、企画とは名ばかりで仕事がない部署でした。リストラ要員を集めた、はきだめ、というか、吹きだまり、のような部署でした」
DS部に集まった社員は約20人。この部署の設立には次のいきさつがある。山成氏が特販部でいびられていた頃、実は社内で内紛があり、06年8月に突然、社長が米田龍佳氏から、和田康孝氏に代わった。このとき辞めさせられた米田社長が、じきじきに作ったのがDS部だった。社長交代に伴い、この部署は負の遺産のような扱いになり、後述のような吹きだまりの部署になったのだという。
DS部に配属後、山成氏に対する仕事の指示が何もなされないため、契約書面のチェックをしたり、各種書類の郵送用の宛名書きをして過ごすしかなかった。
さらに、現代社会で村八分にも遭ったという。DS部では1週間に1回全体会議があり、会議室に部の全員が集まる。配属直後の会議の際、山成氏が会議室に入ると、冒頭で全体あいさつがあり、それが終わって具体的な内容に入ろうとしたところで、いきなり、B課長に「席に戻って。出なくていいから。ここからは君は関係ないから」などと言われ、会議室から追い出された。それ以降、会議のあいさつが終わると、常に退席させられたという。
また、課に来客があっても、B課長は山成氏1人だけ紹介しなかった。ほかの従業員も皆一様によそよそしい態度をとり、助けてくれる従業員など1人もいなかった。山成氏は、孤独な日々で精神的に追い込まれて無気力状態に陥り、人生に不安感や絶望感しか抱かなくなってしまったという。胃痛や頭痛も毎日発生するようになり、朝、出社する前になると、激しい吐き気をもよおすようになった。夜中の午前3時〜4時ころ突然目が覚めてしまい、不安感に襲われ眠れない日々も続いた。
こうしたパワハラの日々の中で、08年5月中旬、山成氏は、突然、視界のピントが合わなくなり、見るものが二重に映り、奥行きがつかめなくなる異変に見舞われたという。同年半ばからは、テレビやパソコンといった発光体はすべて白色になってしまい、新聞や書類も白地の部分が発光し、文字や数字が読めなくなってしまった。病名は「網膜症又は視神経症」と診断された。
会社側は山成氏に対し、1年間の休職命令を言い渡した。
その後、山成氏は、会社に戻って仕事をしたい一心で、視覚障害者に対するIT訓練、就労支援を実施する、東京都世田谷区内にある視覚障害者就労生涯学習支援センターに通い始めた。そこで重度視覚障害者対象のビジネスパソコン技能習得と就職応援コースを受講し、視覚障害補助ソフトの操作、データ処理、ホームページ作成、各種アプリケーション操作技能の習得など、約3カ月間計244時間学び、修了証書を受領した。これにより、発症前と同程度のパソコン操作が可能になった。
医師からも「就業により悪化する可能性はなく、視覚障害補助具の活用により業務遂行は可能である」との診断書をもらった。
その後、山成氏は会社に対し、仕事をさせてほしい、と何度も訴えた。だが、会社側は、「客観的に判断した結果、復職は困難であるとの結論に至りました」というばかりで、ついに「休職期間満了による自動退職」に追いやった。
その後、山成氏は会社を相手取り、東京地裁に提訴した。訴えの内容は「雇用契約上の権利の地位確認」や、「退職無効により支払われる賃金」「後遺症による逸失利益4300万円」「精神的損害、弁護士費用、医療費2831万円」など。
会社側は、パワハラはなかったと全面否認し、退職させたことについても正当性を主張した。
その後、審議を重ね、12年12月25日、一審判決が下った。判決文によると、まず、パワハラの事実認定について裁判所は、暴言や嫌がらせ行為を裏付ける客観的証拠が存在しない、などとして山成氏の主張をしりぞけた。
しかし、地位確認については、「原告が日常生活を営むことすら困難な状態であったなどということはできない。(略)原告が視覚障害を負った状況下でもパワーポイント等のソフトを用いて企画書を作成できていたことなども併せ考慮するならば、原告は、本件休職期間満了時点にあっても、事務職としての通常の業務を遂行することが可能であったと推認するのが相当である」
「被告は、■■医師及び■■医師(※名前伏せる)の診断は客観性を欠くとか、個々の部門の業務内容を列挙して原告を配属できる業務は存在しない旨主張するが、被告は、原告に産業医の診察を受けさせたり、原告の復職の可否について産業医の意見を求めた形跡すらないものであって、復職不可とした被告の判断こそ客観性を欠くというべきであるし、(略)被告は、多様な部門を擁する大企業であることからすれば、高々月額26万円程度の給与水準の事務職が、被告の内部に存在しないとは考えにくいというべきである」
「したがって、原告は、被告に対し、雇用契約上の地位を有する」と判断した。
また、精神的損害や後遺症による逸失利益など計7000万円超の損害賠償請求については、パワハラがなかったと認定をしたので、被告の安全配慮義務違反も認めることはできない、として、請求を棄却した。
この判決を下したのは、東京地裁民事11部の西村康一郎裁判長だった。なお、この判決の後、会社は即日控訴、山成氏も翌日控訴している。
第一興商に、一審判決の見解を取材したところ、同社広報課は「地位確認の部分がひっかかっていたので、控訴した。今後控訴審でいろいろ当社も主張していくので、コメントは出せない」とした。
一方、山成氏は、「第一興商側の『障害者は生産性が無いので解雇は正当』という主張を司法は認めなかった。そのことを判決という形で公に残すという成果が出せたことを、一介の労働者、一人の障害就労者として誇りに思います。他方、会社側の数々のパワハラ行為などについては、客観的な証明が不十分として司法判断がなされませんでした。そのことを控訴審で問いたい」と語る。
裁判所のいうようにパワハラは本当になかったのか――? 控訴審を注目したい。
(文=佐々木奎一/ジャーナリスト)
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